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フランスもファーウェイ排除|国際的に5Gからファーウェイが排除される本当の理由

フランスもファーウェイ排除|ファーウェイの5Gの安全保障上の脅威とは?

【2026年8月 追記】

2020年7月公開当時の記事です。旧版のイギリス「2023年までに完全排除」は誤りで、正しくは2027年末(訂正済み)。2026年の最新動向は追記セクションへ。

フランスは2020年7月、2028年までにファーウェイを完全排除する方針を決めました。2026年9月時点でも入れ替えは続いていますが、フランスの制度は「全面禁止」ではなく許可制で、EU全体の足並みもそろっていません。

結論:主要国の排除状況

国・枠組み 方針発表 完全排除の期限 2026年9月時点
アメリカ 2019年〜 政府調達は即時、輸出も規制 対中制裁を継続・強化
イギリス 2020年7月 2027年末 BTのコア網99%超が非ファーウェイ化(2025年)
フランス 2020年7月 2028年 ブイグ・SFRがアンテナ計1万基超を更新中
スウェーデン 2020年 2025年1月 排除完了
ドイツ 2024年7月 2026年末(コア網)/2029年末(アクセス網の管理機能) 第1段階はほぼ達成と報道。EU一律案には反対
EU 2020年(非拘束の勧告) 2026年1月に拘束力化を提案(審議中) 具体策は27カ国中13カ国のみ

2026年10月3日時点の状況:EUのデジタル・ネットワーク法は欧州議会と加盟国で審議中のままで、成立していません。先に期限が来るのはドイツのコア網(2026年末)で、残り約3か月です。

フランスの排除方針(2020年)

項目 内容
期限 2028年までに完全排除
手法 ファーウェイ製品を使う通信会社の事業許可を3〜8年に限定、更新なし
対象 政府調達だけでなく民間企業まで
影響 導入済み設備の入れ替えで整備遅延の恐れも、厳しい判断を優先

ポイント:EU向け販売で業績を伸ばしてきたファーウェイにとって、EUの中心国フランスの排除は大きな打撃でした。

排除に転じた3つの理由

理由 内容(2020年当時)
新型コロナを巡る対立 中国大使館が7月12日、欧州の対応を根拠なく非難する文書を公開。ルドリアン外相が批判
香港への強権 7月1日施行の香港国家安全維持法。初日に約370人拘束、日英など27カ国が懸念の共同声明
ウイグル族への弾圧 100万〜200万人とされる人々の収容、強制不妊手術などが国際的に非難

ファーウェイ単体より、中国という国家を信用できるかが判断の決め手と考えられます。

米英と足並みをそろえる

国 2020年当時の動き
アメリカ 5月に米国製装置を使った半導体のファーウェイ向け輸出を禁止(TSMCからの調達停止)。領事館閉鎖まで発展し、中国全体への制裁に
イギリス 5月まではシェア35%以下で容認 → 同年に中国メーカー排除へ転換

【訂正】イギリスは「2023年までに」ではなく、2020年7月14日発表で新規導入を即時禁止・既設機器は2027年末までに完全排除。コア網の期限は当初2023年1月→2023年12月末に延期。

【2026年8月追記】最新動向

フランス:規制都市を広げ2028年へ

  • 既存免許を更新しない方式で締め出し
  • ストラスブール・ブレスト・トゥールーズ・レンヌ・トゥーロンなどで新設禁止区域
  • ブイグ・SFRは2021年頃から入れ替え。費用補償を求めて2023年にパリ行政裁判所へ提訴(ブイグの暫定請求額は8,200万ユーロ、SFRは撤去費用1億ユーロ超と算定)。2026年9月時点で判決は確認できていません

「2028年に全面禁止」ではない:フランスの根拠法(2019年8月1日のスクレメール法)は、5G基地局の運用を国家情報システムセキュリティ庁(ANSSI)の個別許可制にする仕組みです。ANSSI自身が「全面禁止ではない」と説明しており、ファーウェイ製への許可を短め(3〜5年、最長8年)に出すことで実質的に置き換えを促してきました。

政府が2025年5月27日に国民議会へ示した実績(2023年7月〜2024年7月)では、ブイグテレコムのファーウェイ機器は5,570件を許可・1,196件を拒否、SFRは905件許可・6件拒否、フリーは2,032件が拒否、オランジュは申請なし。許可の期限は2023年から2032年に分散しており、政府は撤去の進み具合を公表していません。「2028年」は各社が示した撤去目標の年です。

事業者 入れ替え対象 切替先 費用等
ブイグテレコム アンテナ約3,000基(2028年までに) エリクソン 約8,200万ユーロと報道(総費用の一部とも)
SFR(アルティス系) アンテナ8,000基超 ノキア ─
フランスのファーウェイ排除計画 進捗タイムライン 現在(2026年8月) 2020年 排除方針を発表 2021年〜 ブイグ・SFRが 設備更新に着手 アンテナ計1万基超を 更新中・費用は係争中 2028年 完全排除 目標(未到達) 発表 設備更新・規制進行中 完全排除の目標時期

費用は誰が負担するのか:EU司法裁判所の法務官意見

撤去費用の補償を求める争いは、フランスだけでなくEU全体の論点になっています。

時期 内容
2021年2月 フランス憲法院が「反ファーウェイ法」を合憲と判断。ただし国務院は「重大かつ特別な損害」があれば補償請求できる道を残した
2023年 SFR・ブイグがパリ行政裁判所へ提訴(判決は2026年9月時点で確認できず)
2026年3月19日 EU司法裁判所の法務官が、エストニアの事業者が争った事件(Elisa Eesti/C-354/24)で「加盟国は製造者を理由に機器を排除でき、負担が不均衡でない限り補償は不要」との意見を提示。判決は2026年末までに出る見込み

法務官意見に拘束力はありませんが、判決が意見どおりになれば、各国の事業者が費用の補償を求めるのは難しくなります。

アルザス工場は完成後も動いていない

  • ファーウェイがフランス・ブリュマット(バ=ラン県)に建てた工場は、建屋が完成した一方で稼働していない
  • 当初は2026年1月1日の生産開始を予定していたが停止。約束された生産職300名の採用も行われず、買い手候補の視察が実施されたと現地メディアが報じた(2025年11月時点)
  • 投資額は2億〜3億ユーロと報じられた。2026年に売却が成立したかは確認できていません

ドイツ:2026年末にコア網の期限

段階 対象 期限
第1段階 5Gコア網からファーウェイ・ZTEの重要部品を排除 2026年末
第2段階 アクセス網の管理システムの重要機能を置き換え 2029年末

2024年7月11日、政府がドイツテレコム・ボーダフォン・テレフォニカとの合意に基づき発表。第1段階の要件はほぼ達成とハンデルスブラットが報道(出典:ジェトロ ビジネス短信)。

EU:「勧告」から「義務」へ、ただし審議中

時期 動き
2020年 非拘束の「5Gサイバーセキュリティ・ツールボックス」
2026年1月20日 ヴィルクネン上級副委員長が拘束力を持たせる案を提示(デジタル・ネットワーク法/Digital Networks Act。業界側はサイバーセキュリティ法と呼ぶ)。光ファイバー・太陽光制御機器・国境検査装置・上下水道にも拡大し、高リスク指定から3年以内に撤去を義務づける
2026年5月4日 ファーウェイ・ZTE排除を改めて勧告(非拘束)
2026年7月 業界団体GSMAの試算として、欧州事業者の置き換え費用は300〜400億ユーロ、競争減少に伴う機器価格の上昇で2030年までにさらに約85億ユーロと報じられる
2026年9月15日 業界団体Connect Europeを通じて欧州通信17社のCEOが反対の公開書簡。オレンジ(仏)・ドイツテレコム・テレフォニカ(西)などが署名し、置き換え費用は最大400億ユーロ、光ファイバー・5G・6Gに回すべき資金が失われると主張
2026年9月時点 欧州議会と加盟国政府の間で調整中(未成立)。独・西が反発、中国は「差別的」と非難
指標 内容
高リスクベンダー比率 通信インフラの約3割(2026年初頭)
依存度が高い国 チェコ67%、ドイツ59%、ギリシャ53%
具体的な5G対策 27カ国中13カ国(2024年初頭は11カ国)
ツールボックス未完全実施 17カ国(うち14カ国は規制なし)

出典:Strand Consult(EU27カ国・EEA3カ国・スイスの集計)、Euronews(2026年9月15日・https://www.euronews.com/my-europe/2026/09/15/european-telecoms-execs-push-back-against-planned-huawei-crackdown)

まだ決まっていない点:どの企業が「高リスク」に指定されるかは法案に書かれていません。指定の主体・基準と、撤去費用を誰が負担するのかが調整の焦点です。成立すれば、フランスのような国ごとの許可制ではなくEU全域で一律の撤去義務になります。

まとめ

  • フランスは事業者の撤去目標が2028年、イギリスは2027年末が法定の期限
  • 最初の節目はドイツのコア網期限2026年末
  • EUは拘束力化を提案したが審議中で、加盟国の実施はばらつき
  • フランスの制度は全面禁止ではなく許可制。撤去費用の補償は、EU司法裁判所の判断(2026年末までの見込み)が分かれ目
  • 2020年当時の日本の対応は、非採用企業への減税措置という緩やかなもの
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※本記事は2020年公開の内容に、フランスの排除計画の進捗やEUの5Gセキュリティ規制の義務化など2026年9月18日時点の情報を追記したものです。ファーウェイは独自チップ「Kirin」とHarmonyOSで中国国内では復権しましたが、日本のスマホ市場からは事実上撤退。日本の5G人口カバー率は98.6%(2025年度末)。2026年10月3日に、EUのデジタル・ネットワーク法が審議中のままであることとドイツのコア網期限(2026年末)までの残り期間を追記しました。2026年9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月18日にフランスの制度が許可制であること(国民議会への政府回答・2025年5月27日)、EU司法裁判所 法務官意見(2026年3月19日・Elisa Eesti事件 C-354/24)、アルザス工場の状況、GSMAの費用試算を追記しました。2026年9月24日に、法案の正式名称(デジタル・ネットワーク法)と「高リスク指定から3年以内の撤去」という条件、欧州通信17社CEOの反対書簡(2026年9月15日・最大400億ユーロ)を追記しました。