日本がファーウェイに対してどのような対応をとっているのか解説します。
アメリカ、イギリス、フランスと世界中に飛び火しているファーウェイ排除。
中国が世界中の国と領土問題を引き起こし、世界中からコロナウイルスの対応に不満を持たれ、香港に対する強権的な対応をとってから民主主義国家は次々とファーウェイを排除しています。
日本も尖閣諸島などで中国と対立し、対中関係は決して良好な関係とは言えませんが、ファーウェイに対してはどのような対応をしているのでしょう?
日本のファーウェイ排除の対応について詳しく解説していきます。
目次
日本政府はアメリカに呼応して通信会社へ排除を依頼
アメリカからのファーウェイ排除の依頼を受け、日本は以前からファーウェイの排除を行なっています。
民間通信会社に対してファーウェイ製の部品を5G通信網で使わないよう呼びかけていますし、政府調達に関してもファーウェイからの調達は行っていません。
日本政府が当初からとっていたファーウェイに対する対応について詳しく解説していきます。
NTTドコモとKDDIはファーウェイをすでに排除
NTTドコモとKDDIはすでに5G通信網にファーウェイ製の製品を使用していません。
アメリカがファーウェイの危険性を主張し始めた時から、日本政府の方針にしたがってファーウェイを使用していないため、5G通信網を構築し始めた当初からドコモとauの通信網にはファーウェイ製は使用されていないことになります。
「ファーウェイが怖い」という人はドコモかauが安全かもしれません。
ソフトバンクは一部にファーウェイ製部品が
ソフトバンクは日本政府による呼びかけが始まる前は、かなりファーウェイとは近い関係にあり、すでにソフトバンクの通信網にはファーウェイ製の部品が使われていると言われています。
現在、ソフトバンクは「政府の方針に従う」として、新たにファーウェイ製の部品は使わないこととしていますが、すでに使用しているファーウェイ製の部品と他メーカーの部品には互換性がありません。
そのため、今後は「どこまで脱ファーウェイを図ることができるのか」という点が焦点になるでしょう。
スマホは日本でも発売中
ファーウェイのスマホは日本でも販売中です。
しかし、アメリカの制裁によってファーウェイ製のスマホはアメリカのアプリを使用することができません。
そのため、Androidスマホでは欠かすことができないアプリのストアであるGoogle Playは利用できません。
その代わりにファーウェイはAppGalleryというアプリからアプリをダウンロードすることができるようにしていますが、やはりGoogle Playと比較すると対応しているアプリは限られてしまいます。
また、今や欠かすことができないGoogleマップを利用することができないなど、Google製のアプリを利用できないデメリットはかなりの大きさです。
日本では「ファーウェイ製のスマホの購入はできるものの、実際にはあまり使えない」という印象を持っている人が多いようです。
政府調達ではファーウェイを排除
そして、政府は政府調達でファーウェイ製の商品・部品を完全排除しています。
今後は独立行政法人と指定法人などの96箇所の公共的性格が強い法人もファーウェイを含む中国企業が生産する通信機器を事実上使用できなくする方向で調整しています。
5G投資を促す税制優遇
日本は、民間企業に対して5Gに関する投資を行なった場合には大幅な減税をすると決定しました。
しかし、ファーウェイ製の部品を使っている企業は減税措置を受けることはできません。
日本の場合には税制を上手に活用して、民間企業のファーウェイ排除を促す狙いがあるようです。
ファーウェイ排除の減税措置の中身について詳しく見ていきましょう。
安全保障上の懸念がある国の企業の部品が使われていないことが条件
この税制の適用を受けるには以下の条件をクリアする必要があります。
- 企業の5G整備計画を提出し審査を受ける
- 審査通過には安全保障上の懸念がある国の企業の部品が使われていないことなどを確認
「安全保障上の懸念がある国の企業」とはつまりファーウェイのことです。
つまり、税制優遇を受けるためにはファーウェイ製の部品を使わずに5G整備計画を立てる必要があります。
ファーウェイ部品が使われていない企業が税制優遇される
ファーウェイ製の部品を使わずに5G整備計画を立てた企業に対しては以下の内容で税制優遇が行われます。
- 5G投資額の15%の税額控除
- 30%の特別償却
例えば5Gに対して100億円設備投資した場合に
- 15%の税額控除を選択すれば:15億円の税額控除(支払うべき税金から控除される)
- 30%の特別償却を選択すれば:30億円を減価償却費として経費参入
というかなり大型の税制優遇を受けることができルものです。
企業とすればファーウェイ製の製品を使用してしまえば大型の税制優遇を受けることができなくなるため、ファーウェイ排除のインセンティブが働きます。
このように日本政府は税制面からファーウェイ排除を働きかけていると言えるでしょう。
日本は技術でファーウェイを排除
さらに、NTTをはじめとした日本の民間企業は、技術力と価格の市場原理でファーウェイを排除しようという動きも見られます。
より安価な通信網を構築することができればコストがファーウェイ並みや安くなれば、市場原理によってファーウェイは排除されることになります。
日本の技術力でファーウェイ排除に繋がる可能性について見ていきましょう。
基地局のオープン化で価格面でファーウェイ並みに
2020年現在、NTTドコモが中心となって、5G基地局のオープン化を進めています。
基地局のオープン化とは、メーカーごとに異なる基地局を構成する機器同士を接続する際の仕様を共通化することによって、複数のメーカーの機器を組み合わせて接続することができるようになるものです。
基地局のオープン化によって様々なメーカーから機器を調達することが可能になれば、メーカー同士の競争が進んでコストが下がりやすくなります。
これによって競合より2割〜3割安いと言われるファーウェイにコスト面で引けを取らないうようになります。
価格面で日本企業優位になれば自然とファーウェイは排除される
ファーウェイが5G基地局で世界中のシェアを獲得している最大の理由や「安いから」です。
価格競争に晒されている世界中の通信会社はコストを少しでも抑えるために、相場よりも2割〜3割も安いファーウェイをリスクを承知で使用しているという側面があります。
しかし、オープン化によってファーウェイ並みの価格に抑えることができるようになれば、通信会社は安心安全な日本企業を選ぶ可能性が高くなるため、結果的にファーウェイが排除されることになります。
5Gでは完全に遅れをとっている日本企業がファーウェイの排除の立役者となる可能性も否定できないでしょう。
日本でも中国版アプリ制限か
このように、どちらかと言えばソフトかつ間接的に日本はファーウェイ排除を行なってきました。
しかし、2020年7月、自民党はインド政府と同じように中国のアプリの使用を禁止する提言を政府に対して出す方針であることが報道されました。
これによって日本でも人気のTikTokが利用禁止になる可能性があります。
自民党議連が政府に提言
2020年7月、自民党の「ルール形成戦略議員連盟」(会長・甘利明税調会長)は中国発のアプリの使用制限を行うよう政府に提言する方針であることが報道されました。
すでにアメリカは「中国発アプリの使用は、個人情報が中国共産党の手に渡りかねない」として自国から排除しようとしており、インドはすでに排除を決定しました。
日本も安全保障上の観点から中国発アプリの使用を排除する動きになっています。
TikTokが無くなるかも
排除の対象になっているアプリには日本人の若者にも大人気のアプリTikTokも含まれています。
今後の政府の対応次第では、日本からTikTokが無くなる日が本当に来るかもしれません。
政府も、国家安全保障局の経済班などが中国発のアプリの情報収集をすでに開始。
菅官房長官も7月27日の記者会見で「サイバーセキュリティーに関する動向は常に注視している。個人が特定される情報の投稿や登録は、十分注意することが重要だ」と発言しておる、TikTokをはじめとした中国発アプリの排除は現実味を帯びています。
まとめ
日本はすでにファーウェイ排除はかなり進んだ形で行なっています。
政府調達はもちろん、民間通信会社も実質的にファーウェイ排除を行なっており、政府は通信会社以外の民間企業も排除できるよう、「ファーウェイを排除した企業に対する税制優遇」まで用意しています。
世界中でファーウェイ排除が進んでいますが、日本ではすでにかなり強くファーウェイ排除が行われているのです。
今後はファーウェイだけでなくアプリにまで中国排除は進みそうで、中国と民主主義国家の対立が深まる中、さらに排除は加速していく見込みです。