健康被害

【5Gが新型コロナウイルスを広げた】アメリカでも広がるデマと暴動を解説

【5Gが新型コロナウイルスを広げた】アメリカでも広がるデマと暴動を解説

【2026年9月 追記】

5Gとコロナを結びつける説は、WHOや各国当局・科学界が明確に否定。5G契約は1億3,153万件(2026年6月末・前年同期比13.7%増)ですが、健康被害の科学的根拠は確認されていません。ICNIRPの基準も維持されています。

「5Gがコロナを広げた」に科学的根拠はありません。WHO・ITU・ICNIRPが否定済みです。本記事は米国での放火事件と政府対応を検証するもので、この主張は支持しません。

結論:噂と事実

論点 事実
噂の根拠 5G展開図と感染図が似ているだけ(疑似相関)
決定的な反証 5G未展開のイランで感染爆発
国際機関 WHO・ITU・ICNIRPが明確に否定
時系列 米国の放火は2019年12月=コロナ前から
実害 英・米・カナダで基地局放火、技術者への暴行
日本 投稿は拡散したが放火・破壊事件はなし

5Gの電波にDNAを傷つける力はない

電磁波スペクトラムにおける5Gの位置 電波(5G・Wi-Fiなど) 赤外線〜紫外線 X線・ガンマ線 非電離放射線(安全域) 電離放射線(DNA損傷) 5Gはここ(電波) DNAを傷つけウイルスの性質に影響しうる「電離作用」を持つのは電離放射線のみ。 5Gの電波(非電離放射線)にそのようなエネルギーはありません。
機関 見解
WHO(Myth busters) ウイルスは電波に乗って移動できない。5G網がない国でも感染拡大
ITU 「技術的根拠が一切ないデマ」
ICNIRP(2020年改定) 基準内の5Gに健康影響の根拠なし。電離作用を持たない
WHO委託の系統的レビュー(2024年9月) 携帯電話などの電波と脳腫瘍などのがんに関連は認められず(Environment International誌)

「免疫力を下げる」「発がん性」にも査読済み研究の裏付けはありません(5Gでガンになる?悪影響派と問題ない派の意見)。

米国の放火と政府対応

放火はコロナ拡大より先行していた(米国のケース) 時間→ 2019年12月 米で放火開始 (コロナ前) 2020年1月 米で感染確認 2020年3-4月 陰謀論が拡散 2020年4月 DHSが警告 2020年4-5月 放火が拡大 感染拡大より先に放火が始まっており、 コロナは「後付けの口実」に過ぎなかったとわかります。

ポイント:元々5Gに不安を持つ人々が後からコロナ説を利用した順番。意図で動くため、否定後も同種事件は起こり得ます。

主体 対応
米国土安全保障省(DHS) 陰謀論者が基地局や通信従事者を攻撃する恐れを警告
米政府 事業者にセンサー・防壁、監視カメラ・ドローンを助言
FBI・国家テロ対策センター 連邦職員・法執行機関へ合同で事件情報を送達
YouTube 「5Gがコロナを拡散」動画をポリシー違反で削除対象に
WHO 公式デマリストに掲載し否定

英・米・カナダに広がった攻撃

地域 時期 内容 出典
イギリス 2020年4月~5月 放火・破壊70件以上(一部報道80件超)、技術者への嫌がらせ・暴行約80件 RCR Wireless、Mobile UK
アメリカ(テネシー州) 2019年12月~2020年4月 アンテナ放火5件超(被害10万ドル超)、意図的な停止14件 米国土安全保障省
カナダ・ケベック州 2020年5月 モントリオール近郊で放火多発。3G・4G設備が標的の例も。2名逮捕・起訴 CBC News、The Globe and Mail

カナダの例は、規格を知らず「5G」という言葉だけに反応した実害です。

イギリスで流布された背景や噂の根拠

なぜ2枚の地図は似てしまうのか

5Gのマップと新型コロナウイルスの感染地域マップ上:5Gのマップ 、下:新型コロナウイルスの感染地域マップ

似て見えるのは、両方が同じ第三の要因に引きずられるから(交絡)です。

共通の要因 5G展開 感染拡大
人口密度 採算の取れる都市部から 接触が多く広がりやすい
国際的な往来 経済規模が大きい国ほど早い 流入経路が多く確認も早い
検査・統計の整備 ― 整った国ほど多く「見つかる」

日本ではどうだったか

項目 状況
拡散 2020年春にSNSで同種の投稿が拡散も放火・破壊には至らず
整備状況 5G契約1億3,153万件(2026年6月末)、人口カバー率98.6%(2025年度末)
安全基準 電波防護指針は維持。健康被害の増加を示す公的報告はなし

「基準が緩められた」は事実ではない

総務省の電波防護指針は、いまも情報通信審議会で審議が続いています。緩和ではなく、高い周波数まで国際基準と整合させる方向の作業です。

時期 審議の内容
2024年4月 「吸収電力密度の指針値の導入等」の答申を反映した版を公表
2026年6月16日 電波防護指針の在り方に関する検討作業班 第18回
2026年7月9日 同 第19回(6GHz超を人体近傍で使う機器などが論点)

出典:総務省 情報通信審議会「電波防護指針の在り方に関する検討作業班」(2026年10月5日確認。第19回が最新で、第20回の開催はまだ公表されていない)

同じ型のデマを見分ける3つの問い

問い 今回の例
① 原因がない場所ではどうか 5G未導入のイランで感染爆発→説明がつかない
② 同じ理屈で別の犯人も作れないか コンビニの分布図でも同じ主張ができる
③ 一次情報は何と言っているか WHO・ITU・ICNIRPが否定済み

特に①が強力。原因がないのに結果が起きた場所を1つ示せば、因果の主張は崩れます。

2026年、この陰謀論は沈静化しましたが、電波と病気を結びつけるデマは新技術のたびに再燃し得ます。

よくある質問

Q. 5Gの電波でウイルスが運ばれる?

ありません。ウイルスは物質で、電波に乗って移動できません。WHOも否定しています。

Q. 日本の電波の強さは誰が決める?

総務省の電波防護指針(ICNIRPと整合)。5G導入で基準が緩められた事実はありません。

まとめ

  • 「5Gがコロナを拡散」に根拠なし。WHO・ITU・ICNIRPが否定
  • 根拠の地図の一致は、人口密度などによる交絡
  • 5G未導入のイランの感染拡大が因果を否定
  • 米国の放火は2019年12月=コロナ前から。コロナは後付けの口実
  • 日本では攻撃に至らず、5G整備はその後も進んだ

※本記事は2020年に公開した内容を2026年9月時点の情報に更新したものです。2026年9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月19日に電波防護指針の審議状況を、9月25日にWHO委託の系統的レビュー(2024年)を追記しました。