日本では公立学校の休校が始まり、中国や日本だけでなく世界全ての地域に感染が拡大している新型コロナウィルス。
発生源とされる中国では、健康被害だけでなく中国が最も力を入れている5G投資や、私たちにも身近なiPhoneの出荷まで多くの影響を及ぼしています。
2020年春スタート予定の日本の5Gの開始時期にも遅れが出る可能性もあり、新型iphoneの発売時期にも影響が出そうな流れです。
コロナウィルスが5Gやスマホにどのような影響を与えているのか解説します。
目次
コロナ発症の武漢に光ファイバー拠点
中国は5Gの設備網拡充に大打撃を受けていると伝えられています。
コロナウィルスの発生源とされる武漢市に、5Gインフラ関連企業の拠点が多数存在しているためです。
武漢の5G関連施設はどの程度の規模で、中国の5G戦略にどんな影響を与えたのか、詳しく見ていきましょう。
世界シェア25%
武漢市には光ファイバー製造関連大手が拠点を構えており、オプティックバレーとも呼ばれています。
中国の光ファイバー関連製造シェアは世界シェアの25%にものぼり、コロナウィルスによって膨大な中国の光ファイバー産業に大きな打撃を与えました。
武漢には以下のような光ファイバー関連大手が拠点を構えています。
- 長飛光繊光纜(YOFC):中国最大の光ファイバーケーブル製造企業
- 烽火通信(Fiber Home):通信ソフト
- Accelink:光学コンポーネント大手
5Gのベースステーションを構築するためには高品質な光ファイバーが大量に必要になることで知られています。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大によって、中国の5Gネットワークの構築が大幅に遅れることが懸念されています。
実際に以下のような5G関連の大型プロジェクトは2020年1月31日から延期されています。
- 広東省の工業向けインターネット事業
- 江西省の病院関連事業
- 甘粛省の警察関連事業
スマホの製造にも大打撃
コロナウィルスによる影響は5G関連だけではありません。
すでにスマホの製造にも大打撃を与えています。
工場の操業停止などによってスマホの製造台数は大きく減少し、ウェアラブル端末製造などにも大きな影響を与えています。
コロナウィルスがスマホの製造に与えた影響を詳しく解説します。
製造台数で前年同期比△12%
中国はスマートフォンの製造正解シェアで65%を誇っています。
コロナウィルスの問題で工場の一部停止・移動制限・隔離による人手不足に加えて、通関上の問題も発生しています。
コロナウィルス蔓延以降、北京と上海の通関がマスクや医薬品など医療向けを優先させ、通常の一般貨物の通関手続きが遅れていることが原因で製造物資が届かず、スマホの製造に大幅な遅れが出ているとのことです。
このような影響から、中国の2020年第一四半期のスマートフォン製造台数は前年同期比12%減の過去5年間で最低となる見通しになります。
5G元年と呼ばれる2020年、5Gで先行していた中国はコロナウィルスによって完全に出鼻をくじかれた形になりました。
ウェアラブル機器にも大きな影響
さらに、製造の遅れはスマートフォンだけでなくウェアラブル端末にも影響しています。
これらのデバイスの多くは広東省や江蘇省、浙江省の工場で生産されており、1月末から工場は閉鎖状態にあり、工場再開後も人とモノの移動制限によって製造遅延は継続する見込みと言われています。
iPhone製造にも甚大な影響が
私たち日本人に最も影響があるのがiPhoneの製造の遅れです。
すでにiPhone関連工場のいくつかは操業を停止しており、2020年3月発売予定だったiPone9の発売も遅れるのでは?という噂も出ています。
iPhone関連工場の操業停止とiPhone9の発売延期の噂について詳しく見ていきましょう。
iPhone大手組み立てサプライヤーが工場を停止
iPhone大手組み立てサプライヤー鴻海は2月10日まで中国政府の命令によって製造を停止しました。
これによって、iPhoneの製造に大きな影響が出るのでは?と世界的な懸念となっていました。
ただし、2月10日までの製造停止であればベトナムやインド・メキシコの工場で供給が間に合うので影響は限定的とされ、注目は10日までの操業停止が1週間以上長引くかどうかに集まりました。
鄭州市にある主要工場は操業再開に向け動き出すが
2月10日に鄭州工場の営業再開の許可を取得した鴻海ですが、すぐに本格的再開には至っていません。
鄭州工場は2月17日に省内での従業員募集を始めたものの、隔離用設備の不足によって翌日に鄭州出身者以外のすべての従業員募集と職場復帰を休止しています。
深圳工場には従業員7.7万人が復帰しましたが、この復帰率は43%に留まっています。
このような紆余曲折の中、本格稼働するのは4月から5月だろうというのが大方の予想です。
今後はiPhoneの集荷にも深刻な遅れを及ぼす懸念は払拭できません。
春節の大型連休中のスマホ出荷台数は前年比で半減以下
このような混乱の中、延長された春節連休中のスマートフォン販売台数は前年比の半分以下になったと言われています。
Appleは中国本土のオフィスや公式ストアは2月9日まで閉鎖しており、このような影響によってAppleは製造と販売の両面で、コロナによって大打撃を受けたことになります。
iPhone9の発売時期に遅れも
Appleが2020年3月末に発表、4月3日に発売すると噂のiPhone9の発売にも、コロナの影響が現れるのではないかと懸念されています。
前述したように、Apple製造工場は稼働を再開したものの、本格稼働というのは程遠い状態です。
もしも、本格稼働が4月〜5月になればiPhone9の発売は2ヶ月以上遅れることを多くのアナリストが指摘しています。
さらにiPhone9の発売が遅れると、5G対応iPhoneと噂さされる2020年秋発売予定のiphone12に関しても発売が遅れることが予想されます。
3月にイベントが開催されるかどうかに注目
Appleは例年3月にイベントを開催しています。
そして、そのイベント内で新商品が発表され、その週の金曜日に商品が発売されるというのがこれまでの恒例の流れです。
もしもイベントがいつも通りに3月末に行われるのであれば、当初の予想通りに4月3日にiPhone9が発売されることになります。
しかし、イベントが開催されないのであれば、iPhone9の発売も遅れることになり、やがてはiPhone12の発売も延びてしまうことになるでしょう。
まずは、3月末にAppleのイベントが開催されるかどうかに注目です。