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ドコモ・au・ソフトバンクの5Gへの新型コロナウイルスの影響は?

ドコモ・au・ソフトバンクの5Gへの新型コロナウイルスの影響は?

新型コロナウイルスの感染拡大によって、4月21日に発売が予定されていたiPhone SEの発売を大手キャリアはゴールデンウィーク明けに延期するなど、大手キャリアは新型コロナウイルス感染拡大の影響を少なからず受けています。

では、大手キャリアの5Gの展開については新型コロナウイルスはどのような影響を及ぼしているのでしょうか?

ドコモ・au・ソフトバンクの基地局展開などに新型コロナウイルスがどのような影響を与えたのか、詳しく解説していきます。

ドコモは基地局展開が遅れる可能性を発表

ドコモは基地局展開が遅れる可能性を発表

ドコモは2020年4月28日の定例決算説明会で社長自らが新型コロナウイルスの影響によって、5Gの基地局展開が遅れる可能性を公表しています。

基地局の展開だけでなく、契約者数の伸びも低調で、ドコモは少なからず新型コロナウイルスの影響を受けていると言えそうです。

ドコモの新型コロナウイルスの影響

ドコモは新型コロナウイルスによる影響について各分野ごと以下のように発表しています。

音声通話 対話が減ったことによって増加
データ通信 インターネット通信自体は増えたが、自宅でのWi-Fi利用が主で、モバイルデータ通信は微増
国際ローミング 新型コロナウイルスによって渡航者・来訪者が激減したことによって大幅減
端末・サービス販売 営業時間短縮や納入遅れによる在庫減によって減少
コンテンツ 在宅需要によって増加
店頭販売の減少
金融・決済 新規ユーザー獲得減少、外出自粛や消費の落ち込みによって金融決済取扱残高の減少
設備投資 物品納入・建設工程の遅れによる設備投資の遅延

このように、音声通話以外のあらゆる指標は新型コロナウイルス感染拡大予防のための自粛によって減少しています。

この中でも設備投資が減少していることから、5Gの基地局拡大の遅れも懸念されるところです。

5G契約者数の伸びは良好ではない

また、ドコモは5G契約者数の伸びも良好ではないと発表しています。

商用サービス開始当初の3月末での契約者数が約14,000件で、4月が約40,000件となっていることから、1ヶ月間の増加は26,000件。

累計契約者数が約8,000万件のドコモの契約者数のわずか0.05%の契約者数にとどまっており、明らかに低い数字です。

新型コロナウイルスの影響に加えて、5G対応エリアがあまりにも狭いこと、iPhoneが5Gに対応していないことなどが理由としてあげられるでしょう。

2021年6月に1万基地局設置も目標達成は困難か

さらに、ドコモの吉澤社長はドコモが掲げている5G基地局設置の目標達成も困難になる懸念を示しました。

ドコモは当初基地局設置数に関して以下のような目標を立てています。

  • 2021年3月末:国内500都市に基地局設置
  • 2021年6月:国内1万箇所に基地局設置
  • 2022年3月:国内2万箇所に基地局設置

こうして、2022年3月には日本の人口カバー率97%程度は達成できる予定でしたが、この計画の達成が困難だと見通しており出鼻から大きく計画が崩れた格好になります。

2021年6月の基地局達成目標が困難ということは、2021年3月の国内500都市に基地局設置にも遅れが生じる可能性があり、日本の5G通信網構築に大きな遅れを及ぼす可能性があります。

以前から、5Gは日常生活で利用できるまで1年〜2年かかると言われてきましたが、今後はそこに半年から1年程度の遅れを加味した方がよいかもしれません。

ますます私たちは急いで5G対応のスマホに買い替える必要はないでしょう。

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auの新型コロナウイルスの影響

auの新型コロナウイルスの影響

auの新型コロナウイルスの影響については顧客サービス向けのものについて以下のような対応が取られています。

  • 5月10日までauショップを営業縮小(5月6日から5月10日までに延長)
  • 25歳以下(学生)対象の「U25データ通信料割引」受け付けを5月31日まで延長
  • 25歳以下(学生) 対象のauデータチャージ無償化を5月31日まで延長
  • 「ブックパス読み放題プラン」の無料開放期間を5月31日までに延長

このように、感染拡大防止のためにショップの時短営業や、若年層向けのサービス提供に特化しています。

auは5G関連の発表はなし

KDDI(au)もすでに決算発表会は終えていますが、具体的に新型コロナウイルスによって5Gの整備計画が遅れたという発表はありません。

しかし、ドコモやソフトバンクが遅れているのですから、auだけ遅れていないということは少し考えずらいことです。

おそらくKDDIも半年から1年程度は 5Gの敷設計画が遅れるのではないかということが懸念されています。

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ソフトバンクへの新型コロナウイルスの影響

ソフトバンクへの新型コロナウイルスの影響

ソフトバンクも顧客向けに以下のような対応をとっています。

  • 5月10日までソフトバンクおよびワイモバイルショップの営業時間の短縮(5月6日から5月10日までに延長)
  • 25歳以下のソフトバンクとワイモバイルの利用者へ50GBの追加データ無償提供を4月末から5月末までに延長

そして、ソフトバンクは5月11日の決算説明会で5G基地局の整備についても新型コロナウイルスの影響によって少なからず影響が出ていることを社長が発表しています。

基地局整備は10%〜20%の遅れ

ソフトバンクは新型コロナウイルスによって「基地局整備の遅れは10%〜20%ある」としながらも、当初の計画からすれば遅れはないとのことです。

もともと予定から50%増し程度で発注をかけている中での遅れであるため、当初の計画よりも基地局整備は順調に進んでいるとのことです。

さらに「年度末向けて1万局が立ち上がっていく」としており、基地局数で言えば2021年6月での1万局達成が困難なドコモよりも基地局数で言えば順調だということができるでしょう。

機材調達に遅れはない

また、ソフトバンクの5G基地局の部品は中国で組み立ててられていることが多いですが、顕著な欠品はなく、機材調達にも大きな遅れはないとのことです。

以前からファーウェイはじめとした中国依存が懸念されているソフトバンクですが、コロナ発祥の中国にサプライチェーンを依存していることで5Gの基地局設置への大きな影響はないとのことです。

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地方はauととともに進めていく

ソフトバンクは2020年4月1日にKDDI(au)と共同出資で5G JAPANという会社と立ち上げています。

5G JAPANは地方の5Gインフラを作る会社で、ソフトバンクはauととともに地方の5Gインフラを進める計画です。

つまり、地方においてはauとソフトバンクは同時に5Gのエリアを拡大していくものであり、コロナの影響に関して5G JAPANの遅れの発表はありません。

地方へのインフラ整備に関してはそもそもがそこまで急いでいないこともあり、大きな遅れはないということでしょう。

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まとめ

新型コロナウイルス感染拡大によって、大手キャリア3社の5Gエリア拡大は多少なりとも遅れていることは事実です。

しかし、そもそも5Gのエリア拡大は遅れが指摘されている中で見切り発車的にスタートしたため、新型コロナウイルスの影響は軽微なものと考えて問題ないでしょう。

遅れはもともとなのです。

アフターコロナで5Gが注目されている中、5Gの拡大が本当の意味で期待されるのはこれからでしょう。

大手キャリアが新型コロナウイルスの影響などによって出遅れた5Gをどこまで挽回させることができるのか、緊急事態宣言開けから注目が集まるでしょう。