【2026年8月 追記】
本記事はもともと2020年時点の内容ですが、2026年現在の「繋がらない・遅い」の原因と対処法を大幅に加筆しました。5Gの人口カバー率は98.6%(2025年度末・総務省)まで拡大し、「エリア外だから使えない」というケースは大きく減っています。一方で「5G表示なのに速くない」という不満は残っており、その主因は4G周波数を転用したエリアであることです。まずは下の【2026年版】の章をご覧ください。
2020年3月に商用化した5Gは、当初「ほとんどのエリアで繋がらない」と言われました。それから6年、人口カバー率は98.6%に達しています。それでも「5Gにならない」「5Gなのに遅い」という声が絶えないのはなぜか。この記事では2026年現在の原因と対処法を整理したうえで、当時なぜエリアが狭かったのかという経緯も残しています。
目次
【2026年版】5Gが繋がらない・遅い3つのパターン
ひとくちに「繋がらない」と言っても、症状は大きく3つに分かれます。どれに当てはまるかで対処法がまったく違うため、まず切り分けが必要です。
パターン1:そもそも5Gエリア外にいる
人口カバー率98.6%という数字は「人口ベース」であって、国土面積ベースではありません。山間部・離島・郊外の一部では、依然として4Gのみというエリアが残ります。また屋内、とくに地下街・エレベーター内・鉄筋コンクリートの建物の奥は、屋外が5Gエリアでも電波が届きにくい場所です。
都道府県別に見ると差は明確で、2025年度末時点で神奈川県・大阪府・沖縄県が99.9%に達している一方、島根県は89.2%、岩手県93.3%、高知県92.5%と、95%を下回る県が残っています。地方在住で「5Gにならない」場合、この地域差が理由であることは十分にあり得ます。
パターン2:5G表示なのに速くない(転用5G)
2026年でもっとも多い不満がこれです。原因は、画面の「5G」表示が周波数帯の違いまでは示してくれないことにあります。
| 周波数帯 | 実効速度の目安 | エリアの広さ |
|---|---|---|
| 転用周波数(700MHz〜1.7GHz) | 4G並み。5Gらしい速さは出にくい | 広い(カバー率を押し上げている主役) |
| Sub6(3.7GHz / 4.5GHz) | 数百Mbps〜1Gbps超 | 展開率75.5% |
| ミリ波(28GHz) | 数Gbps | 駅・スタジアム等のごく一部 |
4G用の周波数を5Gに転用したエリアは、電波の届きやすさは4Gそのままなのでカバー率を一気に広げられる反面、速度も4Gとほとんど変わりません。「5Gと表示されているのに体感が変わらない」場合、まずこれを疑ってください。端末の不具合ではなく、仕組み上そうなっています。
さらに、コアネットワークまで5G化した5G SA(スタンドアローン)かどうかでも差が出ます。国内実測分析では、SAの平均下り速度はNSAの約1.7倍、上りは約1.5倍とされています。詳しくは5G SA(スタンドアローン)とは?NSAとの違い・キャリア対応状況を図解で完全解説で解説しています。
パターン3:端末・設定・プラン側に原因がある
エリア内にいて、周囲の人は5Gを掴んでいるのに自分だけ繋がらない——この場合は手元に原因があります。意外に多いのが省電力モードによる5Gの自動オフと、データ上限超過による速度制限です。制限中は5G表示のままでも速度が大きく落ちるため、「5Gが遅い」と誤認されがちです。
症状別・対処法チェックリスト
上から順に、費用がかからず効果が出やすい順に並べています。
| 症状 | まず試すこと | それでも駄目なら |
|---|---|---|
| 4G表示のまま5Gにならない | 設定でネットワークモードを「5G」に変更(省電力モード中は4G固定になる機種がある) | エリアマップで現在地を確認。エリア外なら移動以外に手段はない |
| 急に繋がらなくなった | 機内モードのオン/オフ、端末の再起動 | SIMの挿し直し、ネットワーク設定のリセット |
| 5G表示だが遅い | データ上限を超えていないか確認(制限中は5G表示でも低速) | 転用5Gエリアの可能性。Sub6エリアで速度を測り直す |
| 屋内だけ繋がらない | 窓際に移動する(Sub6は障害物に弱い) | Wi-Fiへ切り替える。屋内対策は各社が進行中 |
| 特定の場所でだけ遅い | 時間帯を変えて再測定(混雑の影響を切り分ける) | キャリアの障害情報を確認 |
| そもそも端末が5G非対応 | 設定に5Gの項目があるか確認 | 5G対応機種への買い替えが必要 |
なお、5Gエリア外に出れば端末は自動的に4Gへ切り替わります。圏外になるわけではないので、この動作自体は異常ではありません。
自分の住所が5Gエリアか確認する方法
推測で悩むより、各社が公開しているエリアマップで実際の住所を確認するのが確実です。いずれも契約前でも無料で閲覧でき、番地単位まで絞り込めます。同じ住所でもキャリアによって対応状況が異なるため、乗り換えを検討している場合は複数社を見比べる価値があります。
| キャリア | 確認できること |
|---|---|
| ドコモ | 5G(Sub6/ミリ波を含む)と4Gのエリアを地図上で表示。整備予定エリアも公開 |
| au(KDDI) | 5Gエリアを地図表示。Sub6対応エリアが区別して示される |
| ソフトバンク | 5G/4Gのエリアマップを公開。今後の拡大予定も掲載 |
| 楽天モバイル | 自社回線エリアと5Gエリアを表示。人口カバー率も公表 |
調べ方の手順は【2026年最新】5Gはいつから?日本の開始は2020年3月25日|キャリア別の開始日とエリアの今で詳しく解説しています。
5Gのエリアが狭かった3つの理由(2020年当時)
ここからは、なぜ商用化当初のエリアがあれほど限定的だったのか、当時の記録として残します。使えたのは空港・スタジアム・キャリアショップなど一部のみでした。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 通信範囲が狭い | ミリ波は最大200m程度しか届かず、広域化には無数の基地局が必要 |
| 直進性が高い | ビルなど障害物に当たると電波が遮られやすく、都市部の面展開が困難 |
| コロナ禍で工事遅延 | 部品供給の遅れやビル屋上工事の制限で、ドコモなど各社の計画に遅延 |
このうち1つ目と2つ目は現在も変わらない物理的な制約です。カバー率98.6%を実現できたのは、この制約を回避できる転用周波数を大量に使ったからでもあります。パターン2で述べた「広いけれど速くない5G」は、その裏返しと言えます。
各社のエリア拡大への取り組み(2020年当時)
| キャリア | 施策 | 概要 |
|---|---|---|
| ドコモ | 巻きつけるアンテナ | 電柱に巻き付けて360度通信、ミリ波対応(2020年2月発表) |
| ドコモ×AGC | ガラスアンテナ | 窓を基地局化、100〜200m先まで電波到達。ビル遮蔽対策として都市部で注目 |
| KDDI・ソフトバンク | 5G JAPAN設立(2020年4月) | 地方は共同で基地局整備、都市部は各社が独自に拡大 |
関連記事:5G通信網拡大の救世主?ドコモが開発するアンテナの新技術 / 【5G JAPAN】KDDIとソフトバンクは地方へのエリア展開を早期実現できるか?
本当の5Gの実現はまだ先(2020年当時の見通し)
当時の5Gはコアネットワークが4Gのままの「ノンスタンドアロン5G(NSA)」方式で、5Gは4Gネットワークの一部という位置付けでした。
| 方式 | コアネットワーク | 特徴 |
|---|---|---|
| NSA(2020年当時の主流) | 4G | 5Gは4Gの一部という位置付け |
| SA(当時の目標:2021年以降) | 5G | 用途別に帯域を細かく制御可能。産業応用(遠隔医療など)の前提 |
当時の発表では、KDDIは2021年中にSA展開を予定、楽天モバイルはNECとともにコアネットワークを開発中とされていました。2026年現在は大手3社(ドコモ・au・ソフトバンク)がSAを商用提供する段階まで進み、当時の見通しはおおむね実現しています。楽天モバイルは未提供で、2026年の運用開始を目指す段階です。SAが使えるエリアもNSAほど広くはなく、拡大の途上にあります。
まとめ
2020年の「5Gが繋がらない」はエリアそのものが無いという問題でした。2026年の「繋がらない・遅い」は、多くの場合それとは別物です。
- エリア外:人口カバー率98.6%でも、地方・屋内・地下には未整備が残る
- 転用5Gエリア:5G表示でも速度は4G並み。もっとも誤解されやすい
- 端末・設定・プラン:省電力モードや通信制限が原因。手元で解決できる
まずは画面表示と速度から自分がどのパターンかを切り分け、エリアマップで住所を確認する。この2ステップで、原因の大半は特定できます。
※本記事は2020年6月に公開した記事を、2026年8月時点の最新情報に更新したものです。人口カバー率・都道府県別カバー率は総務省「5Gの整備状況(令和7年度末)」(2026年7月27日公表)に基づきます。