5G基礎知識

新型コロナウィルスが5Gに与えた3つの影響|5Gの一般化は遠のいた?

新型コロナウィルスが5Gに与えた3つの影響|5Gの一般化は遠のいた?

世界中の様々な分野へ影響を与えている新型コロナウィルスですが、 5Gの分野にも大きな影響を与えています。

コロナウィルスを5Gが広げたという都市伝説に近いデマによる暴動が広がっていることは今や世界中で有名です。

この他、私たちに最も近いところでは、5Gが日常生活で使える時期が遅くなりそうということでしょう。

新型コロナウィルスは5Gにどのような影響を与えたのか、詳しく解説していきます。

コロナウィルスが5Gに与えた影響

コロナウィルスが5Gに与えた影響

新型コロナウィルスが5Gに与えた影響は主に以下の3つです。

  • 「5Gがコロナを広げた」というデマ
  • iPhoneの出荷遅れ
  • 大手キャリアはコロナで余裕ができた

デマの広がりやiPhoneの出荷遅れ、またそれによって大手キャリアには時間的な余裕が生まれたことから、5Gの一般化は2年程度遠のいたのではないかとも言われています。

コロナが5Gに与えた3つの影響について詳しく解説します。

「5Gがコロナを広げた」というデマ

5Gがコロナウィルスを広げた」というデマもイギリスを中心に広がっています。

デマが広がるだけでは、私たちの生活に大きな影響はありませんが、実際にイギリスでは5G関連の基地局やアンテナが焼き討ちされるなどの被害も相次いでいるので、実害も深刻です。

日本の中にも「新型コロナウィルスは5Gが広げた」と信じる人も存在するので、デマは私たちの生活に関係ないとは言えないでしょう。

iPhoneの出荷遅れ

私たち日本人に最も関係があるかもしれないコロナの影響が実はiPhoneの出荷の遅れです。

日本はiPhoneのシェアが世界の中でも最も高い国です。

いくら5G通信網が広がってもiPhoneが5Gに対応しない限りは日本人には5Gは普及しないと言われているほどです。

当初世界の中でもコロナが拡充したのは、中国武漢です。

中国武漢はiPhone関連の組立工場が多いことから、iPhoneの生産が遅れ、2020年のiPhoneの発売スケジュールは大幅に遅れることになってしまいました。

大手キャリアはコロナで時間的余裕ができ、しばらくは5Gは普及しない

日本の5G通信範囲については以前から「狭すぎる」ということが指摘されてきました。

例えばNTTドコモの通信エリアはスタジアムや駅や空港などの一部の施設のみ、ソフトバンクに至っては東京駅周辺のみという状況です。

新型コロナウィルスによって、大手キャリアは急いで5G通信網を確率する理由がなくなっています。

そのため、これまで「範囲が広がるのが遅い」と指摘されてきましたが、さらに5G通信網が広がるには時間がかかることになるでしょう。

新型コロナウィルスの感染拡大は大手キャリアから「急いで通信網を広げなければならならい」というモチベーションを奪ってしまったので、5Gが広がることには時間がかかりそうです。

「5Gがコロナウィルス」を広げたというデマの影響

5Gがコロナを広げたデマ

「5Gが新型コロナウィルスを広げている」というデマが広がっていることは実は軽視はできません。

イギリスではすでにインフラ面がこのデマによって深刻な影響を受けていますし、このデマは以下のような広がりを見せています。

  • イギリスで40件以上の通信施設の焼き討ちや脅迫
  • WHOが一般向けに否定
  • YouTubeは陰謀論動画を削除

「5Gがコロナを広げた」というデマが社会にどのような影響を与えたのか、詳しく解説していきます。

イギリスで40件以上の通信施設の焼き討ちや脅迫

イギリスでは「5Gがコロナウィルスを拡大している」と主張する団体が40件以上の通信施設の焼き討ちを行なっています。

それだけではなく、通信事業者の関係者への殺害の脅迫なども行われています。

また、新型コロナウイルス患者を受け入れるため、4月3日にロンドン東部のイベントホールに開設したばかりの4,000床の臨時病院「ナイチンゲール病院」のアンテナも放火されました。

イギリスの一部の調査によると、すでに1割の人が「コロナウィルスと5Gは関係がある」と回答しており、イギリスでは相当メジャーな噂になっていると言えそうです。

このデマの背景には、ロシアの政府系メディアや米国の右派サイトなどがSNSを活用してデマを広げていると言われています。

イギリス政府はデマを一刀両断に批判していますが、イギリスにおいてはこのデマが留まる気配はありません。

5Gの電波がコロナを広げた?イギリスで流布された背景や噂の根拠
5Gの電波がコロナを広げた?イギリスで流布された背景や噂の根拠イギリスで「新型コロナウィルス感染拡大の背景は5Gの電波によるものだ」という噂が流布されています。 実際に5Gの電波塔が放火されるなどの被害も出ており、真相はともかくとして新型コロナウィルスによってある種のパニック状態が起きています。イギリスで流布されている噂や5Gの健康被害を巡る意見について解説していきます。...

そこで、WHOやYouTubeも独自の対応をとってデマの否定に力を入れています。

WHOが一般向けに否定

WHOはホームページに「携帯電話のネットワークである5G方式は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を広めません」と、デマを否定する文書を公表しています。

WHOは以下のように説明しています。

  • ウィルスは電波やモバイルネットワーク上で移動できない
  • COVID-19は5Gモバイルネットワークがない多くの国でも感染が広がっている
  • COVID-19は感染した人が咳やくしゃみをしたり話したりすると呼吸器の飛沫を介して感染する
  • 汚染された表面に触れた後、目や口、鼻を触ることでも感染する

このようにWHOはコロナウィルスと5Gには何も関連性がないこととともに、コロナウィルスの感染経路について解説しています。

YouTubeは陰謀論動画を削除

また、YouTubeもコロナを5Gが広げていると主張する陰謀論動画の削除に動いています。

YouTubeは2020年4月7日に「COVID-19の存在や感染について、WHOや各地保健当局の説明と異なる主張を展開するコンテンツは、すべてYouTubeのポリシーに違反するとみなされることになった。これには、その症状の原因が5Gにあるとする陰謀論が含まれる」と声明を出し、これによって陰謀論の動画ポリシー違反と見做し削除するとしました。

やはり、この対応もイギリスでの放火事件など、デマを信じた団体の行動が過激化していったためと考えられます。

iPhoneの出荷遅れ

iPhoneの出荷遅れ

私たち日本人にとって最も関係があるのはiPhoneの出荷の遅れかもしれません。

日本人は世界の中でも最も高いiPhoneのシェアを誇り「5GになってもiPhoneを使えないのなら利用しない」という人は相当数存在します。

iPhoneは新型コロナウィルスの影響によって以下の2つで遅れをきたしています。

  • 2020年3月発表のiPhoneSEは半月遅れに
  • 5G対応のiPhoneは予定通りに発売されるか注目

新型コロナウォルスがiPhoneの出荷にどのような影響を与えたのか、詳しく見ていきましょう。

2020年3月発表のiPhoneSEは半月遅れに

2020年最初の新型iPhoneであるiPhone SEは2020年3月末発表、4月上旬発売というのが当初からの噂でした。

しかし新型コロナウィルス感染拡大によって発売は延期になり、ようやく4月15日に発表されることとなりました。

iPhone大手組み立てサプライヤーである鴻海は2月10日まで操業を停止し、その後操業は再稼働しましたが、本格稼働するのは2020年4月から5月くらいになるほど、影響は深刻です。

この影響によって2020年3月発表予定のiPhone SEの発売は半月遅れることになりました。

コロナウィルスが5Gに与えた打撃。iPhone出荷へも影響日本では公立学校の休校。世界全ての地域に感染が拡大している新型コロナウィルス。発生源とされる中国では、健康被害だけでなく中国が最も力を入れている5G投資や、私たちにも身近なiPhoneの出荷まで多くの影響を及ぼしていいます。2020年春スタート予定の日本の5Gの開始時期にも遅れが出る可能性もあり、新型iphoneの発売時期にも影響が出そうな流れです。コロナウィルスが5Gやスマホにどのような影響を与えているのか解説します。...

5G対応のiPhoneは予定通りに発売されるか注目

コロナの影響によってiPhone SEの発売は確かに遅れましたが、iPhone SEはそもそも5G非対応ですので、コロナが5Gに影響したとまでは言い切れません。

問題は5G対応のiPhoneの発売にもコロナの影響が出るのでは?と言われていることです。

コロナの影響によって一時ストップすることになった中国のiPhone製造ラインですが、その影響は5G対応iPhoneであるiPhone 12の製造にも遅れを及ぼすだろうと言われています。

iPhone 12は当初は2020年9月に発表されるのでは?と言われていましたが、今や発売の遅れは確実視されており、クリスマス休暇前に発売されればよいという風潮です。

メディアの中には2020年中の発売は厳しいという声もあります。

実はこれが、日本の5G通信網構築の遅れに大きく関係しています。

大手キャリアはコロナで時間的余裕ができた|しばらくは5Gは普及しない

大手キャリアはコロナで余裕ができた

日本においては5Gの通信網の狭さが指摘されています。

ドコモ、KDDI、ソフトバンク、そして6月開始予定の楽天モバイルとすれば、これまでは通信エリアの早期構築を急いでいましたが、コロナの影響によってそれほど急ぐ必要がなくなっています。

具体的には5Gに関係する以下の2つがコロナの影響によって延期になっているからです。

  • 東京オリンピック
  • iPhone発売

これら2つがなぜ大手キャリアの5G通信網構築の遅れを助長しているのか詳しく解説していきます。

東京オリンピックの延期

大手キャリアが5Gの基地局拡大を急がなくてもよくなった最大の理由は東京オリンピックの延期です。

ご存知の通り、新型コロナウィルス感染拡大によって2020年夏に予定されていた東京オリンピックが1年延期となりました。

大手キャリアはオリンピックまでに5G通信網の一定程度の確率を目指してきましたが、オリンピックが延期になったことによって1年間は時間的な余裕が生まれたことになります。

iPhone発売の遅れ

また、日本のキャリアにとって5G対応iPhoneであるiPhone 12の発売が遅れる見込みというのも、5Gを急がなくてもよい大きな理由の1つです。

日本人のiPhoneのシェアは69.1%(2019年)と言われており、世界の中でもダントツです。

つまり、日本人の約7割が使用しているiPhoneが5Gに対応して初めて実質的な5Gの競争が始まるといっても過言ではありません。

そのiPhoneの発売がコロナの影響によって遅れたことも、大手キャリアに「それほど急がなくてよい」と判断させる大きな原因でしょう。

このように、コロナの影響によって、東京オリンピックと5G対応iPhoneの発売が遅れたことが日本の5G通信網拡大のスピードを鈍らせている大きな原因だと言われています。

まとめ|5Gプランへの切り替えは急がなくてよい

新型コロナウィルスの感染拡大の影響によって様々な影響が出ています。

世界にとってはデマの拡散が大きいのでしょうが、日本人にとっては5G通信網拡大の遅れがもっと深刻なコロナの悪影響と言えるでしょう。

しばらくは日本人の生活圏で5Gが繋がることは難しいかもしれません。

5Gプランへの加入を検討している人は、今は焦らずに実質4Gと同じ料金で5Gを通信することができるソフトバンクか、1年間は完全無料で4Gを利用することができる楽天モバイルなどで、できる限りお金をかけずに気長に5Gが自宅付近で繋がるようになる日を待った方がよいかもしれません。