健康被害

5Gの電波がコロナを広げた?イギリスで流布された背景や噂の根拠

5Gの電波がコロナを広げた?イギリスで流布された背景や噂の根拠

【2026年9月 追記】5Gとコロナを結びつける説は、WHO・各国当局・科学界が明確に否定。日本の5G契約数は1億3,153万件ですが、健康被害の科学的根拠は確認されていません(ICNIRPの安全基準も維持)。

5Gの電波が新型コロナを広げた事実はありません。ただしこのデマによる基地局放火は2026年も続いています。

結論:噂と実際

噂の内容 実際のところ
5GがDNA・RNA、免疫を破壊する ミリ波は非電離放射線。DNAを傷つけるエネルギーはない
武漢に真っ先に300の5G基地局 設置は事実。都市部から整備するのは世界共通で無関係
5G導入国ほど感染率が高い どちらも人口密集地に集中する見かけの相関
5Gの電波がウイルスを運ぶ 電波はウイルス粒子を物理的に運べない
開始日(25・26・27日)で「567=コロナ」 語呂合わせで根拠なし

噂ごとの検証

DNA・免疫を破壊する?

  • 根拠とされた発言:ワシントン州立大学名誉教授マーティン・ポール博士「基地局近くの妊娠牛から生まれた253頭のうち32%(79頭)が白内障」
  • 5Gのミリ波を対象にした研究ではない。国際的な評価機関の結論にも不採用
  • WHO委託の12本の系統的レビュー(2023〜2025年)も裏づけず
  • 米ポートランド市議会・ルイジアナ州議会の調査要求決議も、コロナ以前からある5G健康懸念の延長で、コロナとの関連を示す新証拠ではない

5Gでガンになる?悪影響派と問題ない派の意見の全てを解説します

武漢に300の5G基地局?

武漢は光ファイバー拠点「オプティックバレー」。中国の5G拠点だったという状況証拠にすぎず、感染との因果関係を示すものではありません。

「地図が重なる」の正体

「地図が重なる」の正体:共通の原因があるだけ デマの言い分 5Gの電波 感染が拡大 この矢印を示す証拠はない 実際の関係 人口が密集した都市 5Gが先に整備される 接触が多く感染も拡大 両方が同じ場所で起きるが、互いの原因ではない 編集部作成

2020年当時SNSでは、ダイヤモンド・プリンセス号内の高周波Wi-Fiを原因とする投稿なども拡散しました。

科学的には「健康に害はない」が大勢

根拠 内容
5Gがない地域でも感染拡大 2020年当時、北海道は5Gエリアがごくわずかでも当初から拡大
他の感染症は増えていない 免疫低下なら他も増えるはず。2020年のインフルエンザは前年より大幅減
ミリ波は非電離放射線 X線・ガンマ線と違い分子結合を壊すエネルギーがない

WHO委託の系統的レビュー

項目 内容
公表 2023年10月〜2025年5月、Environment International誌に12本
検証対象 がん・電磁過敏症・認知機能・出生アウトカム・男性不妊など
がんの結論(Karipidisら, 2024) 携帯電話の使用は成人・小児の脳腫瘍などのリスクを増加させないと考えられる(中程度の確実性)
異論 2025年、Environmental Health誌に方法論を批判する論文。議論は継続中

ただし「電波がウイルスを運ぶ」主張とは別次元の話です。

イギリスで起きた実害(2020〜2026年)

時期 出来事
2020年4月3日 英バーミンガムで70フィートの5G電波塔が放火
2020年4月(イースター連休) 放火疑い約20件(ベルファスト・リバプールなど)。技術者への暴言・妨害も80件(Mobile UK)
2023年以降 北アイルランドのウェスト・ベルファストで再燃。被害額は警察発表で約400万ポンド(約8億円規模)
2025年9月 兄弟2人が訴追
2026年4月 45歳・46歳の兄弟2人が訴追。46歳=放火3件(2023年6月・2025年8月の事件)+基地局の破壊を共謀した1件、45歳=放火 最大9件+共謀1件
2026年5月 ラガンサイド治安判事裁判所に出廷
2026年6月2日 ベルファスト治安判事裁判所で46歳の保釈を却下。対象は約27基(報道見出しは「30基近く」)、確認済みの被害は270万ポンドと説明された。捜査担当の刑事は「ベルファスト一帯で基地局の収容能力が大幅に落ちた」と述べた。2人は勾留のまま公判待ち
英政府の発言者 発言
ゴーブ内閣府担当相 「ばかげている」
医療・保健当局幹部 ポウィス氏 「最悪のフェイクニュースだ」

注意:警察はSNSで陰謀論を共有する「ネットワーク」による連続犯行とみています。科学的決着と被害の停止は別問題です。

被害額に約400万ポンドと270万ポンドの2つの数字があるのは、前者が警察が公表した被害総額の見立て、後者が法廷で「確認済み」として示された額だからです。

「5Gは危ない」話の確かめ方

確認先 分かること
WHO「5G mobile networks and health」 ウイルスは電波で運ばれない/現行ばく露で健康影響は未確認
ICNIRP 高周波ガイドライン(2020年版) 電波防護の国際基準。日本の指針も同じ考え方
総務省「電波の人体への影響」 国内の電波防護指針と規制
  • 「一致」だけでは?地図・時期・語呂の一致は因果の証拠にならない
  • 反証が無視されていない?5Gがない地域でも同じ現象はないか
  • 出典が「誰かの発言」止まり?肩書きがあっても査読研究とは別物
  • 数字の時点・単位はある?いつ・どこ・何の数字か

よくある質問

Q. 5Gとコロナに関係はある?

ありません。WHOは「ウイルスは電波や携帯電話網を通じて移動できない」と明言しています。

Q. 武漢の300基地局は嘘?

設置は事実。ただし光通信産業の拠点だったからで、感染の原因ではありません。

Q. なぜ放火まで起きた?

SNSの陰謀論グループを見た人物が模倣したとみられます。英政府の否定でも拡散は止まりませんでした。

Q. 5Gの電波自体は安全?

ICNIRP 2020年版の範囲で健康影響を裏づける知見はありません。方法論への異論はありますが、電波がウイルスを運ぶ余地はありません。

まとめ

  • 「5Gがコロナを広げた」は誤り。WHO・各国当局が否定
  • 地図の重なりは人口密集地という共通原因によるもの
  • 2020年はインフルエンザがむしろ激減し、免疫低下説と矛盾
  • デマによる放火被害は2026年も続く。判断は科学的根拠で

※本記事は2020年4月公開の内容に、イギリスでの被害の推移やWHO委託の系統的レビューの結論など2026年8月時点の情報を加えて更新し、9月17日にベルファストの裁判経過(2026年6月)を追記。9月13日に図表中心の構成へ再編集しました(古いX埋め込みは要旨を本文に反映し削除)。2026年10月4日に、2人の罪状の内訳(46歳=放火3件+共謀1件/45歳=放火最大9件+共謀1件)と、法廷で示された対象基地局数・通信容量への影響を一次報道にそって修正・追記しました。