5G基礎知識

【5Gの次は6G】2030年実用化を目指す6Gの未来予想図を2026年最新情報で解説

5Gの人口カバー率が98.6%(2025年度末・総務省)に達した2026年、通信業界の関心はすでに次世代の6G(Beyond 5G)へ移っています。2030年ごろの実用化を目指す6Gの姿を整理します。

この1年で6Gは「構想の段階」から「日程と周波数が決まりつつある段階」へ進みました。国際標準の締め切りが確定し、日本のキャリアも実際の屋外で電波を飛ばし始めています。

5Gと6G、何が変わるのか

項目 5G(現在) 6G(2030年目標)
通信速度 最大数Gbps級 100Gbps級(5Gの10倍以上)
遅延 1ms前後(SA時) さらに10分の1
カバレッジ 地上網が中心 空・海・宇宙を含む非地上系ネットワーク(NTN)と統合
省電力 4Gからの改善途上 端末・基地局とも大幅な電力効率改善
AIの位置づけ 運用の補助(品質予測・省電力制御など) 無線インターフェース自体にAIを組み込む「AIネイティブ」を志向

【2026年9月最新】6Gの実証は「7GHz帯」で動き出した

6Gというと「テラヘルツ波で100Gbps」というイメージが先行しがちですが、2026年時点で実際に検証が進んでいるのは7GHz帯(センチメートル波)です。2026年9月2日、KDDIとKDDI総合研究所は、この7GHz帯を使った屋外実証で下り3.6Gbpsを達成したと発表しました。

項目 内容
発表 2026年9月2日(KDDI・KDDI総合研究所)
実施時期・場所 2026年8月18〜20日/韓国・ソウルのSamsung Electronics R&Dキャンパス
協力 Samsung Research(実証環境構築・基地局機能開発)
達成速度 下り3.6Gbps(帯域幅100MHz)
技術 アンテナ素子1,000超のExtreme Massive MIMO+1024QAM
エリアの結論 同じ場所のSub6基地局と同等のカバレッジを確保できた

注目すべきは速度より最後の一行です。周波数が高くなるほど電波は届きにくくなるというのが5Gのミリ波でつまずいた点でした。今回は多数のアンテナ素子で電波の向きを精密に制御することで、Sub6と同じ広さを7GHz帯でも作れるという見通しが立ったことになります。

国内では先に、ソフトバンクが2025年7月8日に国内通信事業者として初めて7GHz帯の屋外実証実験を開始しています(Massive MIMOによるセンチメートル波のエリア化を検証)。つまり6Gの周波数競争は、実験室ではなく屋外の段階に入っています。

標準化はいつ決まるのか:3GPP Release 21の日程が確定

6Gの仕様は、携帯電話の標準化団体3GPPのRelease 21で策定されます。2026年6月にシンガポールで開かれた会合で、その日程が正式に承認されました。これまで「2020年代後半」としか言えなかった部分が、月単位まで固まったことになります。

3GPP Release 21(6G)の主要マイルストーン 2026年6月 日程承認 (シンガポール会合) 2027年3月 6G無線の作業項目承認 (仕様策定を開始) 2028年9月 物理層の機能凍結 2028年12月 プロトコルの機能凍結 2029年3月 ASN.1凍結 =6G第1版の完成 出典:3GPP(2026年6月 承認)/Qualcomm・Ericssonの解説。商用開始は2030年ごろが業界の共通見通し

ここから逆算すると、6G対応スマートフォンが店頭に並ぶのは早くても2030年前後です。仕様が完成する2029年3月から機器の開発・製造・電波の割り当てを経る必要があるため、「2027年に6Gが始まる」といった話は今のところ根拠がありません。

6Gの周波数はどこになるのか(WRC-27)

どの周波数を6Gに使うかは、ITU(国際電気通信連合)の世界無線通信会議で国際的に決まります。次回のWRC-27(2027年開催予定)で、以下の帯域がIMT(携帯電話用)として議論される予定です。

候補帯域 位置づけ
4.4〜4.8GHz 現行Sub6の延長線上。既存設備を活かしやすい
7.125〜8.4GHz 6Gの主力候補。KDDI・ソフトバンクが実証中の「アッパーミッドバンド」
14.8〜15.35GHz より広い帯域幅を取れるが、到達距離は短くなる

すでにWRC-23(2023年11月)で6425〜7025MHzと7025〜7125MHzがIMT向けに特定済みで、日本では後者の100MHz幅が5G/6Gに使える可能性があります。6Gが「7GHz帯を軸に始まる」と言われるのはこのためです。

ロードマップ:5G成熟から6G実用化へ

2020 5G商用開始 2026(現在) 5G SA普及・衛星直接通信 6Gは7GHz帯の屋外実証段階 2030年目標 6G実用化

すでに始まっている「6Gの前哨戦」

衛星と携帯を直接つなぐ技術は、6Gを待たずに実用化が始まりました。auの「au Starlink Direct」が代表例で、圏外エリアでも衛星経由でメッセージ等が使えます。6G時代には地上・衛星の統合が標準機能になる見込みです。

もうひとつの前哨戦がAIの取り込みです。ドコモは2026年3月2日、VIAVIと共同で、東京駅周辺の複数基地局をデジタルツインで模擬した環境において、AIでビーム制御を最適化しスループット最大約20%改善を確認したと発表しました。各基地局が8つのビーム候補から最適なものを選ぶ際、実環境での品質測定信号を減らしても従来と同等の精度を保てたという内容です。

制御信号が減るぶん、データ通信に使える無線リソースが増えます。6Gで語られる「AIネイティブな無線」は、こうした地味な効率改善の積み重ねとして先に現れます。

6Gが変えると言われる分野

  • 常時接続のXR・デジタルツイン
  • 完全自動運転と交通インフラの統合
  • センシング機能を持つ通信網(電波で人や物の動きを検知)

6Gの標準化はどこまで進んでいるか

6Gは国際電気通信連合(ITU)が定める次世代規格「IMT-2030」として、国際的な枠組みづくりが進行中です。2023年に採択された勧告「M.2160」で6Gの全体像が定義され、以降は詳細な技術要件の策定段階に入っています。

時期 内容
2020年 総務省「Beyond 5G推進戦略」公表。研究開発・社会実装・知財標準化・海外展開の4戦略を提示
2023年 ITU-R勧告「M.2160」でIMT-2030(6G)の全体像を採択
2023年11月 WRC-23で6425〜7125MHzをIMT向けに特定
2026年6月 3GPPがRelease 21(6G)の日程を承認
2027年 WRC-27で6G向け周波数を議論/3月にRelease 21の仕様策定を開始
2029年3月 Release 21のASN.1凍結=6G仕様の第1版が完成
2030年 各国での商用サービス開始を目標

出典:総務省「Beyond 5G推進戦略-6Gへのロードマップ-」、ITU-R勧告 M.2160、3GPP Release 21 タイムライン

日本の6G研究開発はどう進んでいるか

日本では総務省が2023年3月にNICT(情報通信研究機構)へ情報通信研究開発基金を造成し、革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業として民間企業・大学の研究開発と国際標準化を支援しています。

2026年度(令和8年度)も公募が継続しており、要素技術・シーズ創出型プログラムでは1件あたり年間最大7,000万円、電波有効利用研究開発プログラムでは研究開発期間内の総額上限30億円という規模が示されています。5Gでは特許・標準化の主導権を海外勢に握られた反省から、標準化への関与そのものを国が資金面で支える体制になっている点が5Gのときとの違いです。

「6Gも期待外れになるのでは」への答え

5Gは「4Gの100倍速い」と喧伝されながら、多くの人にとって体感の変化が小さいまま6年が過ぎました。同じことが6Gでも起きるのではないか、という疑いはもっともです。現時点で言えることを整理します。

5Gで起きたこと 6Gで同じになりそうか
ミリ波のエリアが広がらず、高速の恩恵を受けられる場所が限られた 変わる可能性がある。主力候補が7GHz帯(センチメートル波)で、Sub6と同等のカバレッジが実証されている
当初はNSA(4G併用)で、低遅延など本来の機能が使えなかった 同じ轍を踏む懸念は残る。初期の6Gも既存5G設備との併用から始まる公算が大きい
「何に使うのか」が個人利用者に伝わらなかった ほぼ同じ。センシングやデジタルツインは産業用途が中心で、スマホの体感を変える用途は未確定
料金は上がったが、速度の実感は伴わなかった 未定。6G単独の料金体系が発表された事実はまだない

結論として、6Gは「2030年に世界が変わる出来事」ではなく、5Gの弱点を1つずつ埋める延長線上の更新と捉えるのが実態に近いと考えられます。買い替えを急ぐ理由になるのは、6Gではなく後述の5G SAのほうです。

まずは5G SAの成熟が先

6Gの前に、5G本来の力を出すSA(スタンドアローン)方式の普及が控えています。「今の5Gは物足りない」と感じる人にとって、体感が変わるのはむしろ6Gより先に来るSAの段階です。

総務省の調査(2025年3月末時点)では、全国30万2,118局の5G基地局のうちSA対応は15万5,721局。事業者ごとの差が大きく、ソフトバンクが99,871局とほぼ全数をSA化している一方、楽天モバイルは0局です。6Gを待つより、自分の使うキャリアのSA対応状況を見るほうが、向こう数年の体感には直結します。

よくある質問

Q. 6Gはいつから使えますか?
商用サービスの開始目標は2030年ごろです。仕様の第1版が完成するのが2029年3月なので、それより前に一般向けの6Gサービスが始まることは考えにくい状況です。

Q. 今買うスマホは6Gで使えなくなりますか?
なりません。5Gは6G開始後も長く併用されます。4Gが5G開始から6年たった2026年も現役であることが参考になります。

Q. 6Gになると料金は上がりますか?
現時点で6G固有の料金体系は発表されていません。ただし4G→5Gでは新規格対応が値上げの理由の一つとされた経緯があり、同様の動きは想定しておいたほうが無難です。

Q. テラヘルツ波は使われないのですか?
研究は続いていますが、6Gの初期に主力となるのは7GHz帯です。テラヘルツ波は到達距離が極端に短く、当面は特定の用途(近距離の超大容量伝送など)に限られる見込みです。

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※本記事は2020年公開の記事を、2026年9月時点の最新情報に更新したものです。料金・仕様は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。