ローカル5G

【ローカル5G】富士通ら3社がローカル5Gネットワークを構築|実用化の日は近い?

【ローカル5G】富士通ら3社がローカル5Gネットワークを構築|実用化の日は近い?

【2026年10月 追記】

本記事は2020年当時のローカル5G実証の内容です。2026年現在、ローカル5Gは実導入フェーズに入っています(追記へ)。

2020年4月、富士通・FNETS・ケーブルメディアワイワイが宮崎県でローカル5G検証システムの構築を発表。2026年9月末の全国の免許人は134者・約1,640局です。

結論:2020年の事例と2026年の実態

項目 内容
ローカル5Gとは 特定のエリア・施設だけに構築する5G網
2020年の事例 宮崎県 延岡・日向エリアで検証(2020年10月開始予定)
体制 大手メーカーが技術・免許申請を支援、ケーブルテレビ局が運用
2026年の規模 免許人134者、基地局約1,640局(9月末。6月末は約1,710局)
位置づけ キャリア5Gと棲み分ける用途特化の専用インフラ

2020年:検証システムの概要

項目 内容
発表日 2020年4月6日
対象エリア 宮崎県 延岡・日向エリア
開始時期 2020年10月(予定)
目的 工場・農業・自治体の課題解決インフラとしての活用研究
企業 役割
FNETS 免許申請支援、エリア設計、電波伝搬測定、ネットワーク設計・工事
富士通 検証システム(コア装置・無線基地局等)の提供、実証支援
ケーブルメディアワイワイ 検証システムの運用計画

ポイント:同じ座組みは住友商事とケーブルテレビ各社の「グレープ・ワン」でも展開(ローカル5Gとケーブルテレビ)。

ネットワーク構成

設備 役割 設置場所
コア設備 通信制御・認証・データ転送(IAサーバ上のソフト) ケーブルメディアワイワイ
エッジコア設備 基地局の情報を集めコアへ送信 実証実験先
ローカル基地局/BWA基地局 現場の無線アクセスポイント 工場・農地等
  • NSA方式:制御信号はLTE、データは5G。キャリア5Gがない地域でも構築可
  • 設置場所:エッジコア設備と基地局を置ければ工場・農地でも可
  • BWA=広帯域移動無線アクセス

想定された活用例

用途 概要
遠隔監視・センシング カメラ・センサーで遠隔モニタリング、異常の早期検知
リモート作業支援 重機映像を管制室で監視・操作。工事・農機の無人化
実用化の検討 実証データで自動運転・スマート工場を検討

当時は大手キャリアの地方展開が遅れ、「ローカル5Gの方が早く地域に浸透するのでは」という見立てもありました。

6年後の実態(2026年11月時点)

宮崎の3社の検証について、その後の成果や本格運用の続報は公開情報では確認できませんでした。以下はローカル5G全体の動きです。

項目 令和8年(2026年)9月末
免許人の数 134者
基地局数(サブ6+ミリ波) 約1,640局(6月末は約1,710局)
周波数帯 サブ6(4.5GHz帯)/ミリ波(28GHz帯)

出典:総務省 電波利用ポータル「ローカル5G」(https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/system/ml/mobile/local5g/index.htm)。免許を受けるのは工場・病院・自治体・通信事業者などで、個人向けの仕組みではありません。

用途別の内訳(2025年9月末)

周波数帯 用途 免許局数
Sub6帯 電気通信業務用 1,313局
Sub6帯 一般業務用(工場・医療など) 504局
ミリ波帯 電気通信業務用 11局
ミリ波帯 一般業務用 17局
ミリ波帯 公共業務用 2局
合計(単純合計) 1,847局

出典:総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の資料。上の「約1,640局」とは基準日・対象範囲が異なり直接比較できません。

ケーブルテレビ事業者の採算(2026年9月の業界報告)

「実用化は近いか」を測るうえで参考になる実数が出ています。日本ケーブルテレビ連盟が2026年9月16日の総務省「ローカル5G検討作業班」第25回会合で報告したものです。

項目 件数
運用中のシステム 31件(基地局157局)
うち有料提供 23件
うち採算が取れて自走 8件

ローカル5G免許を持つケーブルテレビ事業者20社のうち18社の回答。同連盟は業界全体がまだ「先行投資の段階」にあるとし、複数用途の併用による設備効率と採算性の改善を課題に挙げています。出典:BUSINESS NETWORK(2026年9月)

宮崎の事例と同じくケーブルテレビ事業者が担い手という構図は6年たっても変わっていません。有料提供のうち採算が合っているのは約3割で、検証から事業化までの距離はまだあります。

2026年7月、総務省は「作業班の審議を再開」した

制度づくりは2025年度で一巡しました。それでも普及が足りないという判断から、総務省は2026年7月にローカル5G検討作業班の審議を再開しています。再開の理由そのものが、いまの到達点を表しています。

項目 2026年3月末時点 読み方
基地局の免許数 1,708局 Sub6帯とミリ波帯の合計
免許人(Sub6帯) 141者 Sub6の基地局数は「総じてみれば増加傾向」
免許人(ミリ波帯) 9者 ミリ波の基地局はピーク時の約3分の1に減少=総務省の資料も「苦戦」と明記

出典:総務省「ローカル5G検討作業班の審議再開について」(資料23-1・2026年7月/soumu.go.jp/main_content/001080598.pdf)。同資料には、電波有効利用委員会報告(2026年6月19日)の引用として2026年1月31日時点でSub6 150者・ミリ波13者という数字も載っています。基準日と集計範囲が違うため、上の表とは単純比較できません。

「大容量を超高速で」というローカル5Gの売り文句を担うのはミリ波帯ですが、その免許人は10者を切りました。伸びているのはSub6帯=広めのエリアを普通の速度で覆う使い方です。

総務省が挙げた4つの宿題

再開後の検討課題は、そのまま「実用化を妨げているもの」の一覧として読めます。

課題 中身
周波数の有効利用 鉄道・道路などの社会インフラでの使い方を踏まえた在り方
ミリ波帯の普及拡大 基地局数が減っていることを踏まえた活性化の方向性
免許手続の簡素化・迅速化 干渉調整の高度化(2026年度の技術試験の結果を踏まえる)
その他の普及拡大方策 利用形態の多様化への対応、社会実装と持続的発展

免許人19者へのヒアリングでは、専用周波数(Sub6・ミリ波)ではエリア形成に限界があること、鉄道のように他者の土地へ電波が漏れる場面の干渉調整が重いことが課題として挙がりました。要望は「免許手続の簡素化・迅速化」と「ビジネスモデルが確立するまでの補助の拡充」で、技術ではなく手続きと採算が足かせという整理です。

ローカル5G制度の歩み 2019年 制度創設 2020年 実証実験 (本記事の事例) 2023年 共同利用解禁 2024年9月 HPUE制度化 2025年9月 免許1,847局 出典:総務省資料等をもとに作成
  • 2023年:共同利用を解禁
  • 2024年9月:高出力端末(HPUE)・レピーターを制度化し、エリア改善とコスト低減
  • 2025年2月:海上利用(4,800〜4,900MHz)の制度整備。意見募集の結果とガイドライン改定版を公表
  • 2026年2月:総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」が最終改定(最新版)
  • 「メーカーが支援し地域事業者が運用」の座組みは各地で参照されるモデルに

富士通のローカル5Gはいまどうなっているか

項目 2026年10月時点
事業の主体 光伝送装置・基地局装置・6G研究の事業は2025年7月1日に分社し「1FINITY」へ(富士通の100%子会社)。撤退ではなく主体の移動
製品 富士通はローカル5GのSA対応システム「PW300」(4.7GHz帯)と検証ラボを継続
1FINITYの動き 公表分はOpen RAN無線機の海外受注とAPN(オール光ネットワーク)の実証が中心。2026年のローカル5G新規導入事例は公開情報では確認できず

市場規模の予測

調査 予測
デロイト トーマツ ミック経済研究所(2025年1月発刊) 2024年度 227億円(前年度比133.5%)→ 2028年度 573億円(年平均26.0%成長)。製造業・鉄道・港湾・エネルギーが牽引
矢野経済研究所(2024年調査) 2030年度 558億円

数百億円規模=携帯大手1社の年間設備投資(数千億円)とは桁が2つ違う市場です。伸びてはいるが、普及というより用途特化の市場であることが数字にも表れています。2026年に公表された新しい予測は確認できていません。

導入検討で最初に確認する3点

確認点 見るべきこと
①Wi-Fiで足りないか 狭い屋内ならWi-Fi 6/7が安価。広い敷地・屋外・多数端末向き
②免許と運用体制 免許が必要。申請・設計・保守を自社かパートナーか
③費用を回収できるか 数千万円規模も。人員削減・歩留まり改善など効果を数字で。総務省「地域社会DX推進パッケージ事業」の3次公募(補助率1/2)は2026年9月30日(水)正午で締切済み(総務省の報道資料)

ポイント:導入の分かれ目は免許申請とエリア設計を支援できるパートナーを見つけられるかです。

「大手より早い」構図は変わった

観点 2020年の見立て 2026年の実態
キャリア5G 地方展開は数年先 人口カバー率98.6%(2025年度末)
ローカル5Gの役割 キャリアの穴を埋める 工場・建設・農業など敷地・用途特化
普及 先に実用化するかも 限定用途で着実に拡大、爆発的普及ではない

よくある質問

Q. ローカル5Gは誰が使える?

免許を受けた工場・病院・自治体・通信事業者などです。個人向けの仕組みではありません。

Q. 宮崎の検証はその後どうなった?

成果や本格運用の続報は、公開情報では確認できませんでした。

Q. 富士通はローカル5Gから撤退した?

撤退ではありません。基地局・光伝送の事業は2025年7月に分社して1FINITYへ移り、富士通本体もローカル5G向けシステムの提供を続けています。

Q. Wi-Fiとどう使い分ける?

狭い屋内ならWi-Fi 6/7、広い敷地・屋外・多数端末ならローカル5Gが候補です。

まとめ

  • 2020年、富士通ら3社が宮崎でローカル5G検証を発表
  • 2026年9月末は免許人134者・約1,640局(6月末の約1,710局から約70局減)
  • 共同利用解禁・HPUE制度化で導入ハードルは低下
  • キャリア5Gと競うより、用途特化の専用網として定着

※本記事は2020年公開の内容に、ローカル5Gの免許局数、共同利用・HPUEなどの制度改正、5G人口カバー率の実績を含む2026年9月18日時点の情報を追記したものです。2026年9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月18日に富士通のネットワーク事業分社(1FINITY・2025年7月1日)、市場規模予測(デロイト トーマツ ミック経済研究所/矢野経済研究所)、海上利用の制度整備(2025年2月)とガイドラインの最終改定(2026年2月)を追記し、9月25日に地域社会DX推進パッケージ事業 3次公募の締切(9月30日正午)を追記しました。2026年9月30日に地域社会DX推進パッケージ事業 3次公募の締切(同日正午)を反映しました。2026年10月7日に電波利用ポータルで免許人数・基地局数(134者・約1,710局/令和8年6月末)を再確認しました(変更なし)。2026年10月23日に、日本ケーブルテレビ連盟が総務省ローカル5G検討作業班(2026年9月16日)で報告した運用31件・有料提供23件・採算8件の実数を追加しました。

※2026年11月1日に、総務省「ローカル5G検討作業班の審議再開について」(資料23-1・2026年7月)を一次資料から確認し、2026年3月末の免許数1,708局・免許人数(Sub6 141者/ミリ波9者)とミリ波帯の減少、再開後の4つの検討課題を追記しました。2026年11月2日に、総務省 電波利用ポータル「ローカル5G」で免許人134者・基地局約1,640局(令和8年9月末)を確認し、6月末の約1,710局から約70局減っていることを反映しました。


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