2020年5月末、株式会社つなぐネットコミュニケーションズ、アルテリア・ネットワークス株式会社、三菱地所株式会社、東京建物株式会社の4社は、集合住宅向けにローカル5Gを用いたインターネットサービスの実証実験を開始すると発表しました。
これまでは産業や医療や農業分野などへの応用が期待されていたローカル5Gですが、住環境への応用が発表されたのは画期的なことです。
これによって、人々の生活や働き方や不動産に対する考え方などが大きく変わる可能性があります。
実証実験が始まる集合住宅向けのローカル5Gサービスの概要や可能性について考えていきましょう。
目次
ローカル5Gとは
そもそもローカル5Gとはどのようなサービスなのか、まずはおさらいしていきましょう。
ローカル5Gとは特定のエリアに限定した5G通信網のことで、NTTドコモやKDDIなどの大手キャリアが5G通信網を敷設する前であっても特定の場所や地域に特化して5G通信網を構築することができます。
ローカル5Gの概要についてまずは確認しておきましょう。
特定のエリアだけの5G通信網
ローカル5Gとは特定のエリアだけの5Gの通信網です。
例えば、工場などの建物内だけに5Gの通信網を敷設することによって、当該工場は5Gの高速大容量通信を使って、様々な処理を行うことができます。
このように、ローカル5Gは特定のエリアや施設だけに5G通信網を設けて、主に産業などに応用されることが期待されています。
キャリアの5Gを待たなくても5Gを構築できる
ドコモやKDDIやソフトバンクなどの5Gは「エリア拡大が遅く、通信エリアが狭すぎる」ということがしばしば批判されています。
私たちが「5Gが繋がる」と考える時、ドコモやKDDIなどの大手キャリアが5Gの基地局を設置し、大手キャリアの通信エリアになったことを意味する場合がほとんどです。
しかし、ローカル5Gは大手キャリアが5Gの通信網を敷設することを待たずに、特定のエリアや施設に対してだけ5Gのエリアとすることが可能です。
例えば、山の中に5Gの通信網が整備された工場が建設されるなどということも可能です。
大手キャリアの5Gとは別に整備することができる5Gがローカル5Gです。
集合住宅向けのローカル5Gサービスとは?
今回発表された集合住宅向けのローカル5Gのサービスとはどのようなものなのでしょうか?
マンションにローカル5G通信網を設けることで、マンションに住む世帯は、有線回線なしで高速大容量通信への接続が可能になるというものです。
集合住宅向けのローカル5Gサービスについて詳しく解説していきます。
マンションの敷地内にローカル5Gの基地局を設置
株式会社つなぐネットコミュニケーションズはマンションの敷地内にローカル5Gの基地局を設置すると発表しています。
これによって、マンション全体がローカル5Gの通信エリアになります。
これまでは特定の工場などに活用されることが見込まれていたローカル5Gですが、マンションに設置すればマンションが5Gエリアになります。
これによって住民が5G通信を利用することができるようになります。
有線回線を敷設しなくても、各世帯でインターネット接続が可能になる
これまでも、マンションの中を光回線を設置するなどということはよくありましたし、中級アパート以上になれば今や普通に光ケーブルは設置されています。
多くのマンションで、光ケーブルからルーターに繋いでWi-Fiを飛ばしてネットに繋いでいるのではないでしょうか?
しかし、マンションにローカル5Gの基地局を設置すれば各戸に光ケーブルをつなぐ必要はなくなります。
無線で高速大容量通信の5Gを利用することができるので、光ケーブルやルーターも必要なく、家庭にある5G対応端末で5Gを利用することができるようになることが期待されています。
集合住宅向けのローカル5Gサービスがもたらすもの
集合住宅向けのローカル5Gサービスがもたらすものとして主に以下の4つをあげることができます。
- 資産価値の向上
- 遠隔医療の推進
- テレワークのさらなる活用
- 映画やゲームが快適に
集合住宅向けのローカル5Gサービスには様々な可能性があります。
集合住宅向けのローカル5Gサービスにはどんな可能性があるのか、詳しく考えていきましょう。
資産価値の向上
建物にローカル5Gが敷設されていると言えば、建物の資産価値は向上するかもしれません。
少なくとも、2020年6月の段階ではローカル5Gが敷設されているマンションなど存在しませんし、今後しばらくは存在しないでしょう。
そのため、ローカル5Gが敷設されているということは大きな付加価値になり、マンションの価値が向上する可能性はあります。
現に今も光回線が通っているアパートは通っていないアパートよりも家賃が高い傾向があるので、ローカル5Gになればなおさら資産価値の向上が期待されます。
遠隔医療の推進
高速大容量通信を実現する5Gは遠隔医療への活用が期待されています。
5GによってMRIやレントゲンなどの画像データを瞬時に送ることによって遠隔地にいる医師は精緻な診断を行うことができますし、カメラの映像などによって遠隔地からの診断精度の向上が期待されているためです。
例えば、高齢者向けの集合住宅などにローカル5Gを敷設すれば、入居者は5Gによる精度の高い遠隔診療を受けることができるようになるかもしれません。
「5Gによる遠隔診療が受けられる高齢者向け住宅」などの名目で、高齢者向け住宅の価値が決まる時代が来るかもしれません。
テレワークのさらなる活用
自宅で5Gが利用できるということは、テレワークの際に大容量データを送ったり、遅延が無くなったり、画像がより高精細になるということです。
これによって、テレワークは今よりも格段に効率化します。
新しい生活様式の中で、会社員はこれまで以上にテレワークで働かなければならない時間が増えていくでしょう。
テレワークが多めの会社に勤務している人は、ローカル5Gが敷設されているマンションを購入することで、「よりテレワークが効率的になる」という恩恵を受けることができます。
「テレワーカー用住宅」などのんブランディングをすることができるかもしれません。
映画やゲームが快適に
ローカル5Gが敷設された住宅は、映画やゲームも快適に行うことができるでしょう。
映画は4k8kの映像が待ち時間がほとんどなく視聴することができますし、画面が途中でフリーズする心配もありません。
ゲームも重いデータを瞬時にダウンロードすることができ、オンラインゲームもサクサク進めることができます。
映画好きやゲーム好きの人にとっても「ローカル5Gが敷設されたマンション」は大きな付加価値になるでしょう。
まとめ
マンションにローカル5Gが敷設される計画が発表されました。
今後は様々なマンションにローカル5Gが敷設される可能性があるでしょう。
すると、私たちの不動産選びも変わってくる可能性があります。
- テレワークが多い人
- 映画視聴が好きな人
- ゲームをサクサクプレーしたい人
- 遠隔診療を受けたい人
このような人たちはローカル5Gが敷設されたマンションへの入居を希望するでしょう。
5Gは私たちの不動産選びの価値観まで変えてしまうほどのインパクトを持っています。
今後、本格的にマンションに導入され、自分にあった通信形態で物件を選ぶという時代が来るかもしれません。