ローカル5G

ローカル5Gでケーブルテレビに光が当たる|5G時代のケーブルテレビの役割とは

ローカル5Gでケーブルテレビに光が当たる|5G時代のケーブルテレビの役割とは

【2026年9月 追記】

本記事は2020年当時の内容をもとに更新しています。ローカル5Gは現在、工場・病院・物流拠点・農場などで実導入フェーズに入り、全国の5G人口カバー率は98.6%(2025年度末)です。

ケーブルテレビは光回線と電柱をすでに持つ「ローカル5Gの担い手」。2023年の「共同利用」制度で商用化が進み、2026年6月末のローカル5G免許人は134者に広がりました。

結論:ケーブルテレビ×ローカル5Gの要点

項目 内容
強み 光回線と電柱を自前で持ち、電柱に基地局を置ける
加入規模 約3,188万世帯・世帯普及率約52.0%(2025年3月末)
商用化 2023年、ZTV・愛媛CATVが共同利用免許でFWA開始
最新の動き ZTVが地域BWAの5G(NR)化を全国初で許可取得
課題 免許申請はソニー系1社が約7割。独占できる段階ではない
採算 CATVの有料システム23件のうち自走は8件(2026年9月・業界報告)

ケーブルテレビのポテンシャル

指標 数値
加入世帯 約3,188万世帯(世帯普及率約52.0%・2025年3月末)
加入世帯の推移 2024年3月末 約3,181万 → 2025年3月末 約3,188万世帯(+0.2%)
ブロードバンド 297者・約1,111万契約(2025年3月末・任意調査)
地域BWA(無線) 101者・約5万契約(同上)
有線設備の光回線比率 70%(2020年の記事作成時に参照した総務省資料)
4k放送 2015年開始。8kも実験

ポイント:5G基地局のカバーは200m程度と狭く、基地局を結ぶ光回線を自前で持つケーブルテレビが有利です。

出典:総務省「ケーブルテレビの現状」(令和7年10月版)。加入世帯数は自主放送を行う登録設備の値。

ローカル5Gに欠かせない理由

強み 内容
自前のインフラ 光ケーブル・電柱を保有。近くの電柱に基地局を置ける
地域密着 土地勘があり、障害時もすぐ駆けつけられる
エリアが重ならない 1地域限定の営業で、ノウハウを共有しやすい
地方後回しを解消 キャリアは都市部→地方。ローカル5Gなら地方が先行できる

住友商事とグレープ・ワン

時期 できごと
1984年 住友商事がケーブルテレビへ出資開始
1995年 国内最大の統括会社ジュピターテレコム(J:COM)設立
2019年6月 ローカル5G実証開始(安曇野の工場⇔大手町の360度視察、竹橋⇔大手町のVR会議に成功)
2019年12月 8社出資でグレープ・ワン設立。CATV事業者の免許取得・導入・運営を支援
2020年12月 ミリ波帯ローカル5Gを商用開始
2024年11月15日 ミリ波基地局を100MHz幅→200MHz幅へ拡張

8社=住友商事・インターネットイニシアティブ・秋田/栃木/東京/三重/愛媛のケーブルテレビ5社・地域ワイヤレスジャパン。現在も複数事業者への提供とIP放送など新たな活用検討が続いています。

2023年「共同利用」で商用フェーズへ

事業者 免許取得 サービス
ZTV(三重) 2023年9月29日(全国初) 2023年11月〜 個人向けFWA「Z-LAN Air 5G Service」
愛媛CATV 2023年10月(四国初) 「eねっとAir Premium」。無線局8局・基地局32局

ポイント:1免許を複数事業者で分担でき、地方CATVも参入しやすくなりました。FWAは光回線ラストワンマイルの代替にもなります。

2024〜2026年の最新動向

ケーブルテレビ×ローカル5G 実用化の歩み 2019-20年 住友商事が 実証実験、 グレープ・ ワン設立 2020年12月 グレープ・ワンが ミリ波帯ローカル 5Gを商用開始 2023年9-10月 ZTV・愛媛CATVが 「共同利用」免許を 取得しFWA開始 2024年3・11月 JCTA「無線利活用 戦略2024」発表/ 200MHz幅に拡張 2025年9月末 Sub6帯局数が 1,817局に 拡大
指標 数値 時点
CATV無線サービス契約(ケーブルID連携基盤) 約303万件 → 約315万件(104社) 2023年6月末→2024年2月末
ローカル5G Sub6帯基地局 1,817局 2025年9月末
※ 上の1,817局と下の約1,710局は集計の範囲が違う(Sub6のみ/Sub6+ミリ波、無線局か基地局か)ため、引き算で増減を読むことはできません
ローカル5G免許申請(累計) 2,063件(約7割がソニー系1社) 2022年1月〜2024年12月
ローカル5G免許人 134者 2026年6月末
ローカル5G基地局(Sub6+ミリ波) 約1,710局(1者平均13局程度) 2026年6月末

出典:総務省 電波利用ポータル|ローカル5G、JCTA「無線利活用戦略2024」(2024年3月)。Sub6帯1,817局と約1,710局は集計基準(届出/免許ベース、対象周波数)が異なり、引き算で増減は語れません。

注意:申請の約7割はソニーネットワークコミュニケーションズ(法人向け「MOREVE」)。担い手はCATV以外にも広がっています。

全国初:ZTVが地域BWAを5G化

項目 内容
地域BWAとは 2.5GHz帯の地域限定無線。従来は4G(LTE)
許可内容 基地局をNR方式(5G)へ変更。全国初(東海総合通信局)
変わること 地域BWAとローカル5Gを統合運用できる
ZTVの計画 地域BWA基地局78局のうち60局を2025年度末までにNR化(2025年4月の発表時点)

ポイント:「光回線と電柱がある」強みが、「既設の無線基地局を5G化できる」へ発展。投資を抑えてエリアを広げられます。

出典:総務省 東海総合通信局 報道資料

【2026年9月】採算が取れているのは有料23件のうち8件

日本ケーブルテレビ連盟が2026年9月16日、総務省のローカル5G検討作業班で業界の実態を報告しました。「担い手になれたか」ではなく「事業として回っているか」が分かる、初めてのまとまった数字です。

項目 数値
ローカル5G免許を持つCATV事業者 20社(うち18社が回答)
運用中のシステム 31件
基地局 157局
有料で提供しているシステム 23件
うち採算が取れて自走 8件(有料分の約3割)
ミリ波を使うシステム 1件のみ(Sub6と組み合わせるNR-DC構成)

連盟は「本格普及に向けて、まだまだ先行投資の段階」とし、課題を「複数用途で併用し、設備効率や採算性を上げていく」ことだと説明しました。

時期 CATVのローカル5Gの使われ方
当初 自社利用・BtoG・BtoBが先行
2023年ごろ〜 モバイルルーター・FWAなどBtoCが加わる
応用例 地域BWAのNR網とローカル5Gを組み合わせ、医科大学の看護師寮・学生寮へFWAを提供

この記事の問いへの答え:ケーブルテレビはローカル5Gの担い手にはなれました(20社が免許、31システムが稼働)。ただし有料23件のうち自走しているのは8件で、事業として光が当たったと言い切れる段階ではありません。

全国の統計:ミリ波はピーク時の約3分の1に減少

項目 数値 時点
ローカル5G基地局の免許数 1,708局 2026年3月末
免許人(Sub6帯) 141者 2026年3月31日
免許人(ミリ波帯) 9者 同上
ミリ波帯の基地局 ピーク時から約3分の1に減少 総務省の評価

CATVにとっての意味:グレープ・ワンが2020年12月に商用化したのはミリ波帯でしたが、全国の流れはSub6に寄っています。連盟の調査でもミリ波を使うシステムは31件中1件だけでした。

出典:総務省「ローカル5G検討作業班の審議再開について」(2026年7月・資料23-1)、日本ケーブルテレビ連盟が2026年9月16日の同作業班で行った報告(BUSINESS NETWORK)。基地局数は集計の範囲(Sub6のみ/Sub6+ミリ波、免許ベースか届出ベースか)が資料ごとに異なるため、本文の他の数値と引き算で比べることはできません。

まとめ

  • CATVは光回線・電柱を持ち、ローカル5Gに有利(加入約3,188万世帯)
  • 2020年12月にグレープ・ワンが商用開始、2023年に共同利用でFWAが始動
  • 2026年6月末で免許人134者・基地局約1,710局
  • ZTVが地域BWAの5G化で既存資産を生かす道を示した
  • ソニー系など他事業者も台頭し、CATVの独占ではない
  • 2026年9月の業界報告では、CATVの有料システム23件のうち採算が取れて自走しているのは8件
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※本記事は2020年公開の内容に、共同利用制度によるZTV・愛媛CATVの商用化、ローカル5G免許統計、ZTVの地域BWA 5G化など2026年9月時点の情報を追記。9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月17日に加入世帯数を総務省「ケーブルテレビの現状」(令和7年10月版)の値に更新しました。2026年10月3日に統計値を再確認し、集計範囲の違う基地局数が並んでいた点に注記を加えました。2026年10月16日に、日本ケーブルテレビ連盟が同年9月16日の総務省ローカル5G検討作業班で報告した業界の実態(20社・31システム・157局、有料23件のうち採算8件)と、総務省資料によるミリ波帯の減少を追記しました。


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