4G 3G

5Gの進化は3段階!開始直後はメリットなし?

2020年からいよいよ日本でも5Gがスタートします。

しかし、5Gがスタートしてすぐに日本中どこでも高速大容量通信が可能になるわけではありません。

むしろ、スタート直後は対応エリアも速度もごくごく限られたものになるでしょう。

5Gが本格的に高速大容量によって私たちの生活を変えるのは2023年以降と言われています。

そこまで5Gは大きく分けると3段階で進化していくと言われています。

これから5Gはどのような進化を遂げていくのでしょうか?

5Gが進化する過程を3段階に分けて解説します。

5Gが始まったらスマホの買い替えを検討している人も多いでしょう。

進化の過程を知ることで買い替えのタイミングを具体的に知ることもできます。

初期段階

2020年春からスタートする5Gはまだまだ初期段階というレベルです。

対応エリアはごく限られたものになり、実際にはそれほど早い速度が実現できるわけではありません。

期待されている産業応用も、この段階でなトライアル段階と言えるでしょう。

初期段階ではどのようなことができるのか、詳しく見ていきましょう。

初期は都心部と主要都市のみ?

5G回線を繋げるには、基地局が5G仕様に整備されている必要があります。

基地局の整備は開始目前の2020年2月現在で、それほど進んでいるとは言えず、NTTドコモは以下のようにコメントしています。

都市部から地方までトラフィック需要の高い場所や、5Gサービス・ソリューションで新規に需要が顕在化する場所(各種施設やスタジアム・ライブ会場や工場など)を予定

つまり、開始直後で利用できるのは、トラフィック需要の高い場所や、一部の人が集まる施設だけということになると予想されます。

ただし、NTTドコモは「2020年6月頃には47都道府県全てに基地局を整備する計画」も発表しており、47都道府県の人が集まるエリア限定で5Gを利用することができる見込みです。

自宅で5Gが使えるようになるのは、まだまだ先になりそうです。

速度は1Gbps程度か

NTTドコモは2019年9月からプレサービスを開始しています。

プレサービスで使用された電波は3.7/4.5GHが2.4Gbps、28GHzが3.2Gbpsが理論上の最大速度です。

この数字だけ見ると、「最初から2Gbps以上の速度が出る」と考えがちです。

4Gの理論値最大速度が1Gbpsですので、その2倍以上早いことになります。

しかし、上記の数値はあくまでも理論値で、実際の速度は1Gbps以下程度ではないかと言われています。

つまり、5Gがすぐに始まっても4Gの最高速度程度までしか速度は出ないということが予想されます。

LTEと5Gのキャリアアグリゲーション

導入初期段階では、既存のLTEと5Gの周波数帯を束ねて高速伝送を行う「キャリアアグリゲーション」という技術で5G電波を伝送します。

これによって、既存のLTE/LTE-Advancedで使われている周波数帯で高速通信を実現できるようになり、当面はこの技術で5Gに割り当てることになります。

産業応用はトライアル段階

5Gは自動運転、工事現場の無人化、遠隔医療、映像の3次元化などの多くの産業で応用されることが期待されています。

しかし、開始間もない2020年の段階では、これらが実際に実現されることはないでしょう。

この段階の産業応用はまだトライアル段階です。

その後の拡充期に向けて、実証実験を繰り返すことになるでしょう。

拡充段階

2021年になると5Gを拡充していく段階に入ります。

この段階になると、現在の4Gの領域とは別に5Gに切り替える作業が本格的に拡充し、日本の中でも5Gが繋がるエリアが広くなります。

そして、5Gの産業応用も実用化される見込みです。

LTE領域のNR化

拡充期に入ると、既存のLTE領域がNR(New Radio)化が始まります。

つまり、LTEと互換性のない新たな無線技術へと本格的にLTE領域が5G領域へと変わっていきます。

拡充期に入るまでは無線領域の主役はLTE(4G)であり、2021年の拡充期に入る頃からやっと、無線通信の主役は5Gになり始めます

産業応用の実用化

そして、本格的に社会全体の無線領域が5Gになる頃に産業応用も本格的にスタートします。

無人のタクシー、完全遠隔操作の工事現場、自宅にいながらスタジアムの臨場感を楽しめる技術、自宅で内科診断を受けられるようになるかもしれません。

「5Gが社会を変えた」と私たちが実感できるようになるのはこの頃からでしょう。

フル仕様段階

2023年以降になると、5Gはフル仕様になると言われています。

この頃になると、高速大容量通信を可能にする「ミリ波」と呼ばれる28GHz帯の基地局が日本各地に作られ、本格的に高速大容量通信が実現可能になります。

高速大容量通信が至るところで実現することによって、5Gデバイスが多様化され、5Gと接続するIOTも大量に登場するので、私たちの生活のあらゆるものが5Gと繋がるようになるでしょう。

私たちが「5G導入で世の中が変わった」と思え、社会や産業構造が大きく変わり出すのはこの段階です。

5Gデバイスの多様化

私たちの生活の身の回りのありとあらゆるものが5Gと繋がるようになります。

5Gというと、スマホだけのイメージがまだまだ強く残っていますが、5Gになると他にも多様なデバイスが登場することが予想されます。

  • 仮想現実を見ることができる「VR」
  • 現実世界を拡張する「AR」
  • 遠隔地にいる人と同じような体験ができる「テレプレゼンス」

などなど、5Gデバイスの主役はスマホではないとさえ言われています。

なお、5Gになればこれまで端末上で処理していた情報をクラウド上で処理できるようになるので、スマホの端末価格が安価になることも期待されています

5GベースのIOT

5Gになると、同時に多くの端末が接続することができるようになります。

私たちの身の回りのあらゆるものがインターネットに繋がり、スマートシティの実現が期待されています。

これからはあらゆるものがインターネットに繋がるので、冷蔵庫の中身を機械が関知して切らしている食材を通知してくれたり、ベットが心拍数などを自動で関知し、健康を害している人を事前に発見できるようになるかもしれません。

人々の生活サイクルを全てテータ化することができれば渋滞やラッシュの緩和も可能になります。

このように、私たちの生活のありとあらゆるものが当たり前のようにインターネットに繋がり、AIやシステムが街や生活を管理し便利になるのも2023年頃からスタートするでしょう。

産業応用が拡大

そしてこの頃には5Gの産業応用が本格的に拡大する見込みです。

買い物はドローンが届けてくれるようになり、買い物弱者はいなくなるかもしれません。

農作物の管理は機械が無人で行うようになるので、高齢になって農家を廃業する人も少なくなるかもしれません。

災害現場に無人で救出に行くことができれば、災害の犠牲者も減らせるかもしれません。

このように、産業応用が本格的に拡大すれば、私たちの生活は劇的に変わり、仕事の中身も今とは大きく異なるものになるでしょう。

まとめ

5Gは2020年になってすぐに世の中を大きく変えるわけではありません。

  • 2020年春〜初期段階
  • 2021年〜拡充段階
  • 2023年〜フル仕様段階

このように、5Gは3段階で進化します。

最初のうちは接続できる範囲はごくわずかで「4Gよりは早いな」という程度のイメージでしょう。

しかし、そこから3年かけて5Gは確実に進化を遂げ、2023年以降は私たちの生活を劇的に変えていくことになるでしょう。