5G基礎知識

5Gが開始されてもしばらくはWi-Fiが必要な理由とは?

高速、大容量の通信が可能な5Gが普及するようになるとWi-Fiは必要なくなるのでは?と言われています。

あまりにも多くの通信量を必要とする、5Gの料金体系は、4Gのような通信量に比例するような料金体系ではないことが予想されるので、現在、多くの人がWi-Fiを使っている理由である、通信制限の問題がなくなるからです。

5Gが本格的に普及した場合、Wi-Fiはどうなってしまうのでしょうか?

皆が5G回線を利用してパソコンやスマホを接続するようになり、Wi-Fiは不要になるのでしょうか?

5G普及後のWi-Fiの行末について予測していきます。

4G環境でWi-Fiが必要になる理由

4G環境でWi-Fiが必要になる主な理由は、「スマホの4G回線だけでは通信制限がかかってしまうから」というものです。

キャリアの使い放題プランに加入するにも基本使用料が高額になるので、安価なWi-Fiに別途加入している人が多いのです。

4Gは通信制限がかかる

4Gでも通信速度は十分と考えている人でも、動画の視聴などを続けていると大量の通信料を消費してしまいます。

例えば1GBでは、動画視聴は約120分、LINEのビデオ通話では約180分しか通信できません。

格安SIMでよくあるプランの3GBでは、約6時間動画を視聴すれば通信制限がかかってしまいまいます。

毎日のようにyoutubeを視聴している人はあっと言う間に通信制限がかかってしまうことになるので、別途Wi-Fiに加入してデータ通信料を気にせず動画視聴などを行いたいという人がWi-Fiに加入しています。

5GになるとWi-Fiは不要になる?

4Gでは必要だったWi-Fiですが、5Gになると不要になると言われています。

それは、5Gになると通信制限は撤廃され、料金体系が4Gとは大きく異なるものになると予想されているからです。

通信制限が撤廃される見込み

5Gの通信速度や通信容量は4Gのおよそ10倍から20倍になると言われています。

そして、5Gの売りは大容量のデータを高速で通信できることにあり、通信量が多い4Kや8Kの動画をどんどん視聴できるようになります。

ちなみに、4K動画をyoutubeで視聴した場合には、1時間で7GBの通信量を消費してしまいます。

現在30GBのプランに加入している人でも、4K動画を4時間程度視聴すれば通信量はほぼ一杯になってしまう計算になります。

このような大容量データを通信する5Gで、これまでのように通信量に合わせて料金を設定するということは現実的ではありません。

おそらく、使い放題のプランになることが予想されます。

つまり、これまで「通信制限がかかってしまう」という理由でWi-Fiを利用してきた人も、5Gになれば通信制限がかからない可能性があるので、そのような人にとってWi-Fiは不要になるのではないのでしょうか?

5GとWi-Fiの通信速度の違い

5Gの理論値の最大速度は、ミリ波と呼ばれる電波帯を使用した場合に20Gbpsと言われています。

4Gの理論値での最大速度は、ドコモの「PREMIUM 4G」で1.288Gbpsで、5Gの方が4Gよりも15倍以上早いことになります。

では、現在のWi-Fiの通信速度はどのくらいなのでしょうか?

現在主流となっている、「IEEE802.11ac」は理論値で6.9Gbps、そして2019年からスタートしたWi-Fi 6と呼ばれる新規格「IEEE 802.11ax」は理論値が9.6Gbpsとなっています。

Wi-Fiは4Gよりは早いですが、ミリ波環境下の5Gに比べると速度が半分以下に落ちてしまいます。

しかし、5G開始に伴い日本全土でミリ波の基地局ができるわけではありません。

当面は、現行の4G基地局の電波を5Gに載せ替える、サブ6GHzという電波帯でスタートします。

では、サブ6GHzの通信速度はどの程度かと言えば、最大値で10Gbps程度と言われています。

つまり、現行のWi-Fiの通信速度とそこまで大きく違いはないということができるのです。

電波 最大値
5G(ミリ波) 20Gbps
5G(サブ6GHz) 10Gbps
Wi-Fi「IEEE802.11ac」 6.9Gbps
Wi-Fi 6「IEEE 802.11ax」 9.6Gbps
4G 1.288Gbps

ミリ波導入まではWi-Fiは必要

このように、5Gの圧倒的な優位性が生まれるのは、5Gがミリ波に切り替わったタイミングです。

サブ6GHz環境下の5Gでは現行のWi-Fi環境とそこまで大きな通信速度の違いはないと言えるでしょう。

料金的に5Gの使い放題の方が高いのであれば、ミリ波が全国に普及するまではスマホは4Gにしておき、Wi-Fiを使用してもそこまでも不便はないものと考えられます。

まずは5Gの新料金プランに注目し、あまりにも5Gの料金プランが高いのであれば、「スマホは4Gの格安SIM」で「Wi-Fiを併用」した方が通信速度のストレスなく、通信料を抑えることができるでしょう。

Wi-Fi 6にも注目

先ほど少し触れた、Wi-Fiの新規格がWi-Fi 6です。

Wi-Fi 6は理論値で10Gbpsも通信速度があり、サブ6GHz環境下の5Gとそれほど変わらない通信速度を誇っています。

さらに、Wi-Fi 6は実効速度にファーカスした規格とも言われており、もしかすると実効速度は6GHz環境下の5Gよりも早くなる可能性があります。

現在、続々とWi-Fi 6対応のルーターが発売されており、しばらくはWi-Fi 6と5Gは使い心地としてはそれほど変わらないと言えるのではないでしょうか?

まとめ

5Gが本格導入されれば、現行のWi-Fi環境はもちろん、Wi-Fi 6環境下よりも、高速大容量の通信を多接続で利用できるようになるので、利便性は5Gの方が圧倒的に高くなることは間違いありません。

しかし、実際に理論値最大20Gbpsを実現するミリ波と呼ばれる周波数帯で5Gを利用できるようになるにはまだ先の話です。

ミリ波の電波は通信範囲が狭いので、200メートル間隔で基地局を設置し、基地局同士を光回線ケーブルで結ばなければなりません。

日本全国にミリ波を行き渡らせるためには膨大なコストと時間がかかり、日本の主要都市を網羅するだけでも、2020年代半ば頃まで時間がかかると言われています。

そして、その間は現行の4Gの基地局の電波をサブ6Ghzという周波数に載せ替えた状態で5Gはスタートします。

そして、サブ6GHzもすぐに日本全国でスタートするわけではありません。

つまり、すぐには日本全国で5Gは使えないし、サブ6GHz環境下の5GではWi-Fi 6と通信速度は大きく変わらないことになります。

ミリ波が日本全国に行き渡り、料金も安価なものであるのであれば、Wi-Fiは不要になるでしょう。

しかし、すぐにそのような状況になるわけではないので、しばらくはWi-Fiも必要になるものと考えられます。

まずは、2020年春スタート予定に5Gの料金プランに注目です。