【2026年9月 追記】前半は2020年当時の技術ニュースです。2025年度末の全国5G人口カバー率は98.6%(前年度末98.4%、総務省2026年7月公表)、基地局数は33万7,875局(2025年度末時点)。
2020年2月にドコモが発表した「電柱に巻くアンテナ」は、商用導入の続報なし。発想はガラスアンテナの実用化とミリ波中継器へ受け継がれました。
目次
結論:2020年の技術はどうなった?
| 技術 | 2020年当時 | 2026年時点 |
|---|---|---|
| 電柱巻きつけアンテナ(ドコモ・AGC試作) | 実用化に期待 | 大規模導入の続報なし |
| ガラスアンテナ(AGC「WAVEATTOCH」) | 2020年中の開始を目指す | 実用化。2025年大阪・関西万博でも活用 |
| ミリ波(28GHz帯) | 全国展開の切り札 | 駅・スタジアムなど「点」の展開 |
| つまむアンテナ(ドコモ) | — | 2021年発表。6G見据え研究継続 |
2020年当時の課題と新アンテナ
| 2020年当時の課題 | 内容 |
|---|---|
| 通信範囲 約200m | ミリ波は直進性が強く、1基地局の範囲が狭い |
| 光ケーブル敷設が膨大 | 200m間隔の基地局を光ケーブルで接続する必要 |
| 当面はキャリアアグリゲーション | LTEと5G帯域を束ねて高速化(理論値2Gbps、実測1Gbps程度の想定) |
- 電柱アンテナ:28GHz帯対応、フッ素樹脂製で360度送受信。巻くだけでエリア化
- ガラスアンテナ:ビルの窓に設置し、景観を乱さず5G網を構築
- ドコモは当時「2023年までに人口のほとんどを5Gでカバー」と発表
その後の歩み(2020→2026年)
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| つまむアンテナ(ドコモ・2021年) | ケーブルを挟むだけでエリア化。工場・屋内向け |
| フィルム型アンテナ(DNP・2022年) | 電柱・街灯に巻ける。2023年度量産化を目指すと発表→続報なし |
| ガラスアンテナ改善(2026年4月) | Low-Eガラス越しでも屋外5Gの受信電力を約10dB(約10倍)改善する実証に成功 |
| ミリ波共用中継器(2026年5月) | ドコモ・KDDIが共同開発(京セラ協力、5月20日完了)。216×216×246mm・4.9kgで従来比 大きさ・重さ約7割減 |
| ドコモミリ波イニシアチブ(2026年9月29日) | ドコモがAGC・キーコム・京セラ・電気興業・日本電業工作・パナソニック システムネットワークス開発研究所・Visban・フジクラ・ダイヤケーブルの8社と始動。レピータ(中継器)・メタサーフェス・導波路でミリ波の届く範囲を広げる。「置きやすい装置でエリアを作る」という電柱アンテナの発想の延長線上にある |
| 4社でミリ波の共同検討(2026年9月) | ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルが9月11日に覚書を締結(9月16日発表)。各社が自らエリア展開を進めることを前提に、展開済みのミリ波基地局・中継器を事業者間で相互活用する技術・方式を検討。時期は未公表 |
共用中継器は上野恩賜公園で2026年夏から実証予定。2026年10月28日時点でも実証結果の公式続報は未確認。出典:NTTドコモ「通信事業者間での5Gミリ波の利用エリア拡大に向けた共同検討を開始」(2026年9月16日)、同「ドコモミリ波イニシアチブを始動」(2026年9月29日)。
カバー率98.6%の中身
| 項目 | 2025年度末 |
|---|---|
| 全国の5G人口カバー率 | 98.6%(前年度末98.4%) |
| 都道府県別 | 89.2%〜99.9%(10ポイント以上の開き) |
| 国の目標 | 2030年度末に全国99%、各都道府県とも99%(デジタルインフラ整備計画2030) |
| カバーの主役 | 4G周波数の5G NR化とSub6(3.7GHz・4.5GHz帯) |
| 最高/最低 | 最高99.9%(神奈川・大阪・沖縄)/最低89.2%(島根) |
| 数え方 | 携帯キャリア4者のエリアカバーを重ね合わせた数字(総務省の注記) |
98.6%は「4社の合計」です。総務省の資料は、この数字を4者のエリアを重ね合わせたものと明記しています。つまりどの1社も単独では98.6%に届いていません。「カバー率98.6%なのに自分のスマホは4Gのまま」が起こるのは、ここが理由のひとつです。契約しているキャリアのエリアマップで確かめるのが確実です。
ポイント:残る課題は地域差。最低の島根(89.2%)と最高(99.9%)では10ポイント以上開いており、カバー率9割前後の県では「置きやすいアンテナ」が今も意味を持ちます。
地上のアンテナ以外の広げ方:HAPSと衛星
「置きやすいアンテナ」と並行して、空から覆う手段の検討も進んでいます。山間部や離島など、基地局を建てても採算が合わない場所が想定されています。
| 手段 | 高さの目安 | 2026年10月時点の状況 |
|---|---|---|
| 地上基地局(アンテナの小型化・設置性) | 数m〜数十m | 主力。5G人口カバー率98.6%(2025年度末)はほぼこれで達成 |
| HAPS(成層圏の無人機) | 約20km | ドコモが2026年10月14日、Abside NetworksとHAPSの通信技術について基本合意書の締結を発表(締結は10月13日)。AIで需要予測・ビーム・干渉を制御する成層圏RANを共同検討。サービス開始時期は未公表 |
| 衛星直接通信(低軌道衛星) | 約500km | 大手3社(ドコモ・au・ソフトバンク)が提供中。スマホがそのまま衛星につながり、圏外でもメッセージなどが使える。楽天モバイルは「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」を2026年第4四半期開始の計画で、10月28日時点では未提供 |
出典:ドコモ報道発表資料「NTTドコモ、Abside NetworksとHAPSに関する基本合意書を締結」(2026年10月14日)
注意:HAPSはまだ実用段階ではありません。今回の合意は機体ではなく運用・制御側の提携で、国内でいつ始まるかは示されていません。2026年時点でエリアを広げているのは、あくまで地上のアンテナです。
ミリ波対応スマホは必要?
| こんな人 | 必要性 | 理由 |
|---|---|---|
| 通勤・自宅・街中が中心 | 不要 | 生活圏はSub6と4G転用帯でカバー |
| スタジアム・大型駅によく行く | あれば有利 | 混雑時に大容量。エリアは限定的 |
| 最高速度を体感したい | 検討の価値あり | Gbps級。ただし数十m・障害物で切替 |
- 日本版iPhoneはミリ波非対応(対応は米国向けのみ)
- 2026年9月10日発表のiPhone 18 Pro/Pro Max・iPhone Duoも日本版はSub-6(n77/n78/n79など)のみ。自社モデム「C2」でも変わらず
- 同じC2の米国版はn258/n260/n261に対応=仕向け地で分かれる
発表内容は iPhone 18 Pro・Pro Max正式発表の記事 で整理しています。
よくある質問
Q. 電柱に巻くアンテナは使われている?
全国規模の商用導入を示す続報は確認できていません。発想はガラスアンテナ等に受け継がれました。
Q. カバー率98.6%ならどこでも5G?
いいえ。人口カバー率は国土全体の指標ではなく、山間部・離島では4Gの場所も残ります。さらに98.6%は4社のエリアを重ね合わせた数字で、1社単独の値ではありません。
Q. ミリ波対応を気にすべき?
ほとんどの人には不要です。速度を左右するのは生活圏がSub6エリアかどうかです。
Q. 5Gエリアはまだ広がる?
国は2030年度末に全国・各都道府県99%が目標。今後はカバー率の低い地域の底上げが中心です。
まとめ
- 電柱アンテナはそのままの形では実現せず
- ガラスアンテナは実用化、つまむアンテナは研究継続
- 5GはSub6の広域カバー+ミリ波・中継器のスポット補強
- 新技術の発表は全国普及の確約ではない
- 98.6%は4社のエリアを重ね合わせた値。県別では89.2%(島根)〜99.9%と10ポイント以上の差がある
出典:総務省「5Gの整備状況(令和7年度末)の公表」(2026年7月公表)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000796.html /総務省「デジタルインフラ整備計画2030」(2025年6月策定)
※本記事は2020年公開の記事を2026年9月時点の情報に更新したものです。2026年9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月25日に4社覚書と中継器実証の状況を再確認、10月3日に「ドコモミリ波イニシアチブ」(9月29日始動)を追記しました。2026年10月15日に、地上のアンテナ以外でエリアを広げる手段(HAPS・衛星直接通信)の節を新設し、ドコモとAbside NetworksのHAPS基本合意(2026年10月14日発表)を追記しました。2026年10月28日に、総務省「5Gの整備状況(令和7年度末)」の原本PDFで98.6%が携帯キャリア4者のエリアを重ね合わせた数字であることを確認して追記し、県別の最高・最低(神奈川・大阪・沖縄99.9%/島根89.2%)と、楽天モバイルの衛星直接通信が同日時点で未提供(2026年第4四半期開始の計画)であることを補いました。技術の実用化状況や仕様は変更される場合があるため、最新情報は各社の公式発表をご確認ください。
Warning: Trying to access array offset on false in /home/money555/5g-media.net/public_html/wp-content/themes/jin/cta.php on line 8
Warning: Trying to access array offset on false in /home/money555/5g-media.net/public_html/wp-content/themes/jin/cta.php on line 9