健康被害

【5Gが新型コロナウイルスを広げた】アメリカでも広がるデマと暴動を解説

【5Gが新型コロナウイルスを広げた】アメリカでも広がるデマと暴動を解説

【2026年7月 追記】

5Gと新型コロナウイルスを結びつける説は、その後WHOや各国当局・科学界によって明確に否定されました。総務省の発表によると、2026年3月末時点で日本の5G契約数は1億2,632万件(前年同期比12.7%増)に達していますが、5G電波による健康被害の科学的根拠は確認されていません。国際ガイドライン(ICNIRP)に基づく安全基準は現在も維持されています。

結論:「5Gの電波が新型コロナウイルスを拡散させた」という主張には科学的根拠が一切なく、WHO・ITU・ICNIRPなど複数の国際機関が明確に否定しています。イギリス発のこの噂は世界に拡散し、基地局への放火事件にまで発展しました。本記事はアメリカでの事件と政府対応を検証するもので、5Gと健康被害を結びつける主張は支持しません。

アメリカでもコロナと5Gの陰謀論が流布

アメリカでもコロナと5Gの陰謀論が流布

「5Gが免疫力を低下させる」「発がん性がある」といった主張は査読済みの科学的研究では裏付けられていません。ICNIRPは2020年改定のガイドラインで、基準内の5Gが健康に悪影響を及ぼす根拠はないと結論づけています。この不安が新型コロナと結びつき、世界的な陰謀論に発展しました。

電磁波スペクトラムにおける5Gの位置 電波(5G・Wi-Fiなど) 赤外線・可視光・紫外線 X線・ガンマ線 非電離放射線(安全域) 電離放射線(DNA損傷) 5Gはここ(電波) DNAを傷つけウイルスの性質に影響しうる「電離作用」を持つのは電離放射線のみ。 5Gの電波(非電離放射線)にそのようなエネルギーはありません。

5Gの電波がコロナを広げた?イギリスで流布された背景や噂の根拠

米国政府の警告と基地局放火

イギリスでの基地局放火を受け、米国土安全保障省は「5Gと新型コロナの関係を疑う陰謀論者が基地局や通信従事者を攻撃する恐れがある」と警告しました。しかし警告後も国内で放火・妨害事件が発生(下表)。最初の放火はコロナ感染拡大前の2019年12月で、「コロナを信じて暴動」ではなく、元々5Gへの健康不安を主張していた人々が後からコロナを利用したという順番だったとみられます。

5Gでガンになる?悪影響派と問題ない派の意見の全てを解説します

デマへのアメリカ政府・関係機関の対応

5Gとコロナのデマに対するアメリカ政府の対応
主体 対応内容
米政府 通信事業者へセンサー・防壁設置、監視カメラ・ドローン運用など自警策を助言
FBI・国家テロ対策センター 連邦職員・法執行機関へ合同で事件情報を送達し連携を強化
YouTube 「5Gがコロナを拡散」とするデマ動画をポリシー違反として削除対象に
WHO 「新型コロナは5Gが拡散している」を公式デマリストに掲載し否定

「5Gがコロナを広げた」の根拠は地図の一致だけ

5Gがコロナを広げたと主張する根拠は1つだけ

根拠は、世界の5G展開図とコロナ感染図が似ているという一点のみです。

上:5Gのマップ 、下:新型コロナウイルスの感染地域マップ

しかし感染拡大当初に爆発的な感染者を出したイランでは、当時5Gサービスは始まっていませんでした。WHOも「新型コロナは5Gネットワークが存在しない多くの国でも拡大している」と指摘しており、両者に因果関係どころか相関関係すら成立していません。地図の見た目が似ているだけで因果を主張する、典型的な「疑似相関」の誤りです。

機関 見解
WHO(Myth busters) ウイルスは電波・携帯電話網に乗って移動できない。5G網が無い国でも感染は拡大している
ITU(国際電気通信連合) 5Gとコロナを結びつける主張は「技術的根拠が一切ないデマ」
ICNIRP 基準内の5Gが健康に悪影響を及ぼす科学的根拠はない。5GはDNAを損傷させる電離作用を持たない

基地局への攻撃はイギリス・アメリカ・カナダにも拡大

地域 時期 内容 出典
イギリス 2020年4月~5月 基地局の放火・破壊70件以上(一部報道80件超)、技術者への嫌がらせ・暴行約80件 RCR Wireless、Mobile UK
アメリカ(テネシー州) 2019年12月~2020年4月 基地局アンテナへの放火5件超(被害額10万ドル超)、意図的な基地局停止14件 米国土安全保障省
カナダ・ケベック州 2020年5月 モントリオール近郊で放火多発。標的が3G・4G設備だったケースもあり、2名逮捕・起訴 CBC News、The Globe and Mail

カナダの事例は、加害者が通信規格を正確に把握しないまま「5G」という言葉に反応して行動したことを示しています。誤情報が無差別かつ非合理的な実害につながる象徴的なケースです。

まとめ

アメリカでの最初の放火は感染拡大前の2019年12月。放火は「コロナへの反応」ではなく、元々5Gに健康不安を抱いていた人々が、展開図と感染図の相関を後付けで利用しただけです。攻撃者は不安ではなく意図で動くため、政府・国際機関の否定にかかわらず同種事件は今後も起こり得ます。

【2026年最新情報】このデマは今どうなっているのか

2026年現在、この陰謀論への言及は大幅に沈静化しています。WHO・ITU・ICNIRPの見解はその後も変わらず、5Gの電波(非電離放射線)が新型コロナを含むいかなる感染症を拡散・悪化させるという科学的根拠は一つも報告されていません。

ただし「電波と病気を結びつけるデマ」自体は消滅していません。裏付けのない誤情報はニュース価値を失った後も一部コミュニティに残り続け、新しい通信・エネルギー技術の登場のたびに再燃し得ます。権威ある一次情報(WHO・ICNIRP・総務省など)を確認するリテラシーの重要性は変わりません。2020年の教訓は、根拠の薄い噂でもSNSで急拡散すれば基地局放火や技術者への暴力という現実の被害に直結し得るということです。

※本記事は2020年に公開した内容を、2026年7月時点の最新情報に更新したものです。