【2026年9月 追記】2020年当時の見通しに最新情報を加えています。5Gは契約数1億3,153万件・人口カバー率98.6%まで普及。自動運転・遠隔手術など超低遅延分野は、5G SAとともに発展途上です。
LPWAは「広域・超省電力・超低価格」のIoT向け通信規格。速さの5Gとは対極で、2026年はあいだを埋める5G RedCapを加えた三層構造です。
目次
結論:5G・RedCap・LPWAの違い
| LPWA | 5G RedCap | 5G(通常) | |
|---|---|---|---|
| 速度 | 数kbps〜数百kbps | 数Mbps〜数十Mbps | 数百Mbps〜数Gbps |
| 電池持ち | 数年 | 数日〜数週間 | 1日程度 |
| 通信コスト | 1台 月10円前後〜 | — | 月990円〜(スマホ) |
| 主な用途 | センサー・検針・見守り | 映像監視・ウェアラブル・資産追跡 | スマホ・AR/VR・高精細映像 |
| 規格 | NB-IoT/LTE-M/Sigfox/LoRaWAN | 3GPP Release 17(NR-Light) | 3GPP Release 15以降 |
| 日本(2026年9月) | 定着・実運用中 | 立ち上がり期 | 人口カバー率98.6% |
スマホ料金の例はLINEMOなど。3G回線は全社停波済み(ドコモFOMAは2026年3月31日終了)で、LPWAの速度はその3Gにも及ばない。
LPWAとは?
| 観点 | 5G | LPWA |
|---|---|---|
| コンセプト | 高機能で多様な機器を並行運用 | 安さで単純な機器を大量に運用 |
| 変える範囲 | 狭い環境を劇的に | 数の力で広い環境を |
| 役割 | 「速さ」 | 「数」 |
- GSMAは2020年当時「2022年までに50億台がLPWAに接続」と予測
- その後もライセンス系(NB-IoT・LTE-M)、非ライセンス系(Sigfox・LoRaWAN)とも接続数を伸ばした
- スマートメーター・物流・インフラ監視で定着
LPWAの活用事例
| サービス/提供元 | 用途 | 成果・特徴 |
|---|---|---|
| jwp IoT Platform 株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック |
ビニールハウスの温度・湿度・日射量・CO2を常時計測 | AIが環境を最適制御。実証で収量30%向上と発表 |
| ST COMM CACH株式会社 |
橋梁・トンネルのひずみ・応力を監視 | 微細な変化を検出し補修時期を最適化 |
| SLIMS-ST(JR西日本コンサルタンツ) | 傾斜・衝撃センサーで災害危険個所を監視 | 異常時に自動通知 |
| 水位計(オサシテクノス) | 河川の氾濫リスクを監視 | 電池式で長期間の定点観測 |
ポイント:速度は不要。電池1本で何年も動くのが共通の強みです。
5G RedCapが「あいだ」を埋める
| 空白 | 内容 |
|---|---|
| LPWAでは足りない | 映像監視・ウェアラブルには速度不足 |
| フル5Gは過剰 | モジュールが高価で消費電力も大きい |
| RedCapの解 | 帯域幅・アンテナ本数・処理能力を削り小型・安価・省電力に。LTE Cat.1やLTE-Mより上の速度域 |
RedCapの商用化状況
| 地域 | 状況 |
|---|---|
| 日本 | 2025年9月、ソフトバンクがApple Watch向けに国内初の商用開始 |
| 中国 | 展開が最速。大手3社がそろって展開 |
| 北米 | T-Mobile・AT&Tが拡大。Verizonは商用化の意向を示したのみで、2026年9月のGSA報告の商用化例には挙がっていない |
| イギリス | BT・Vodafoneが試験完了、本格提供は2026〜2027年見込み |
| 世界全体 | 43事業者・28の国と地域がRedCapに投資中(2026年9月24日・GSA) |
| 直近の商用化 | Rogers Wireless(カナダ・Fido含む)、Com4(ノルウェー)、Zain(サウジアラビア) |
「投資中」と「使える」は別:43事業者が投資している一方、商用サービスとして動いている国はまだ限られます。機器の導入を決めるときは、国や事業者を名指しで確認してください。
出典:GSA「5G RedCap – September 2026」(2026年9月24日)。
RedCapは5G SA前提。SAが整った地域から使えるようになります。国内のSAの足場は次のとおりです。
| キャリア | 5G SAの提供(2026年10月16日時点) |
|---|---|
| ソフトバンク | 提供中。SA対応基地局は99,871局(2025年3月末・全国の約64%)。2026年9月29日から対応iPhone・iPadの電波表示を「SoftBank 5G SA」に(国内初) |
| au(KDDI) | 提供中。2026年8月25日にpovo2.0も対応し、au・UQ mobile・povoの全ブランドで利用可能 |
| ドコモ | 提供中。Sub6・ミリ波中心でSA対応は14,248局(2025年3月末) |
| 楽天モバイル | 未提供(開始時期は2026年内〜2027年と報道が割れる) |
基地局数の出典:総務省「令和7年度 携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の調査結果」(2025年3月末)。RedCap機器を置く場所を決めるときは、設置予定地がSAエリアかを先に確認するのが確実です。
LPWAは「誰が何年運用するか」も重要
| 事業者 | セルラー系LPWAの提供状況 |
|---|---|
| NTTドコモ | LTE-M・LTE Cat.1。NB-IoTは2018年開始→2020年3月31日終了 |
| KDDI(au) | LTE-Mを国内で最初に提供 |
| ソフトバンク | LTE-M(Cat.M1)・LTE Cat.1+国内唯一のNB-IoT |
- ドコモNB-IoT:需要が伸びず1年弱で撤退を決定。開始から2年足らずで終了し、導入事業者は移行を迫られた
- Sigfox:仏本家が2022年に再建手続き→UnaBizが承継。日本はKCCSが運営を継続(KCCS Sigfoxニュース)
注意:センサーは5年・10年使う機器。大手キャリアの規格でも長く続くとは限りません。
圏外を埋める「衛星IoT」
| 項目 | au Starlink Direct for IoT |
|---|---|
| 提供開始 | 2026年4月23日(国内初) |
| 仕組み | IoT機器とStarlink衛星が直接通信(基地局不要) |
| 狙い | 山間部・離島など圏外でのデータ収集・遠隔監視 |
| 想定用途 | 鳥獣害対策、ため池の遠隔監視など |
衛星IoTは競合ではなく圏外を埋める補完。地上網があればLPWAが圧倒的に安価です。
よくある質問
Q. LPWAはスマホで使える?
使えません。センサーや検針メーターなど、少量のデータを送るIoT機器向けです。
Q. 国内でRedCapを使える身近な機器は?
ソフトバンクが2025年9月にApple Watch向けで国内初の商用提供を始めました。5G SAのエリアが前提です。
Q. 自分の設置場所が5G SAかを確かめる方法は?
各社のエリアマップで確認します。ソフトバンクは2026年9月29日から、SA接続中の対応iPhone・iPadに「SoftBank 5G SA」と表示するようになりました。
Q. ドコモのNB-IoTで動いていた機器は?
2020年3月31日にサービスが終了しています。LTE-Mなど別の規格への置き換えが必要です。
まとめ
- 速度は5Gが圧倒、通信コストはLPWAが桁違いに安い
- 2026年はLPWA・RedCap・5Gの三層構造。数kbpsで足りる機器は今もLPWA
- 規格選びは運用が何年続くかも基準(ドコモNB-IoTは2年足らずで終了)
- 圏外は衛星IoT(2026年4月開始)が補完
楽天モバイル
人が使う回線は「速さ」で選んで問題ありません
LPWAはセンサー向けの通信です。スマホ回線なら楽天モバイルは3GB以下1,078円・無制限3,278円の段階制で、5Gも追加料金なし。
※本記事は2020年公開の内容に、5G RedCap(NR-Light)の商用化状況、国内セルラー系LPWA各規格の運用体制の変化(ドコモNB-IoT終了含む)、2026年4月開始の衛星IoTサービスを加え、2026年9月時点の情報に更新。9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月17日によくある質問を追加しました。2026年10月4日に、RedCapの前提となる国内の5G SA提供状況(povo2.0の対応、ソフトバンクのSA表示開始、楽天モバイルの未提供)を表で追記しました。2026年10月16日に、GSAの2026年9月24日報告をもとにRedCapの世界全体の状況(43事業者・28の国と地域が投資中、直近の商用化3社)を追記し、Verizonが商用化例に挙がっていないことを明記しました。