2020年春から日本国内においてもドコモ、au、ソフトバンクの大手キャリア3社は5G商用サービスをスタートしています。
大手キャリアの5Gサービスはまだお試し段階という印象ですが、携帯キャリアの中で楽天モバイルだけが5Gサービスを開始していません。
4G LTEサービスを4月8日に開始したばかりに楽天モバイルですが、6月には5Gサービスも開始する予定となっています。
完全に出遅れた印象のある楽天モバイルですが、5G商戦では以外にも有利になるのでは?と言われています。
楽天モバイルは5Gの高速化他のキャリアよりも実現しやすいからというのがその理由です。
楽天モバイルの5G通信速度が他のキャリアよりも早くなると考えられている理由について詳しく解説していきます。
目次
5Gの通信速度に差がある理由
大手キャリアの5G通信速度は各社ばらつきがあります。
各社の5G通信速度に差があるのは技術的な問題や周波数の問題だけではありません。
5Gサービ開始直後の速度は、4G LTEと実は大きく関係しています。
5Gの通信速度が会社によって異なる理由について詳しく解説していきます。
5Gサービス開始直後の大手キャリアの通信速度
5Gサービスを開始した直後である2020年4月現在の携帯キャリアの通信速度は以下のようになっています。
キャリア | 下り最大 | 上り最大 |
---|---|---|
NTTドコモ | 3.4Gbps | 182Mbps |
KDDI | 2.8Gbps | 183Mbps |
ソフトバンク | 2.0Gbps | 103Mbps |
サービス開始当初はドコモが最も速くなっています。
KDDIも2020年夏にはソフトウェアのアップデートでドコモ並みの速度となる予定ですが、やはり各社通信速度に違いがあることは間違いありません。
5G通信網の周波数帯域幅が異なるから
携帯キャリアはミリ波と呼ばれる高速通信を実現できる28GHz帯に関しては400MHz幅ずつ平等に割り当てられています。
しかし、6GHz以下の周波数帯「サブ6」に関してはキャリアごとに割り当てが以下のように異なります。
- NTTドコモ:3.7GHz帯と4.5GHz帯
- KDDI:3.7GHz帯を2つ
- ソフトバンク:3.7GHz帯1つ
周波数はデータが通る道幅のようなものですので、サブ6の周波数を2枠与えられているドコモとKDDI(au)は通信速度が速くなるのです。
しかし、サービス開始当初はドコモ、au、ソフトバンクともに100MHz幅を1つずつしか使用していないので周波数帯域幅がサービス開始当初の通信速度の違いに影響しているわけではありません。
この違いはいずれは出てくるでしょうが、2020年4月時点では無関係です。
サービス開始当初の5G速度は4Gネットワークが大きく影響
5Gの通信速度が異なるのは、5Gの運用方法が4G LTEに依存しているためです。
5Gは4Gから徐々に移行する仕組みとなっており、サービス開始当初の5Gは4Gの通信設備の中に5Gの基地局を設置して高速大容量通信を実現しています。
この方法を「ノンスタンドアローン(NSA)」といいます。
NSAはベースとなる5G基地局への接続と同時に4Gの基地局にも同時に接続しなければなりません。
ここで「デュアルコネクティビティ」という4Gと5Gの電波を結合する技術で5Gの通信速度の高速化を図っています。
つまり、5Gの通信速度には「デュアルコネクティビティ」によって5Gと結合する4Gのネットワークも大きく影響しています。
5Gと結合する4Gの周波数帯の違いがサービス開始当初の5G通信速度の違いだと考えられます。
下記は大手キャリアが対応している周波数です。
ドコモがもっとも4Gで割り当てられた周波数が多いので、結果的に5Gの通信も速くなります。
5Gの速度は環境の変化によって遅くなる
上記の5Gの通信速度はあくまでも理論値で、実際には環境の変化によって5Gの通信速度は異なります。
そして、5Gの商用サービス開始直後に5Gの通信速度に関係する環境の変化とは、4G LTEの利用状況になります。
大手3キャリアはデュアルコネクティビティの影響で5Gが遅くなる
ドコモ、au、ソフトバンクはすでに多くの4G LTEの顧客を抱えています。
そのため、5Gと4Gの電波を結合する「デュアルコネクティビティ」の際に、4G LTE回線が混雑していれば5Gの通信も遅くなってしまいます。
楽天モバイルだけはデュアルコネクティビティの影響を受けない
一方、4G LTEサービスを始めたばかりの楽天モバイルだけは、デュアルコネクティビティを行なったとしても4G LTEの混雑の影響を受けません。
2020年4月に4G LTEサービスを開始したばかりの楽天モバイルは、そもそも4G LTEサービスに顧客を多く抱えていないためです。
そのため、4G LTEサービスの悪影響を楽天モバイルの5Gだけは受けないことが予想されます。
そして、顧客で混雑していない楽天モバイルは4G LTEでも高速で通信できるでしょう。
楽天モバイルが5G開始当初に有利な3つの理由
楽天モバイルが5G開始当初に他のキャリアよりも有利だと言われるのには以下の3つの理由があります。
- 4Gでの混雑がない
- 28GHzの割り当てでは各社同じ
- 5Gのエリアは各社狭い
楽天モバイルが5Gに有利だと言われる3つの理由について詳しく解説していきます。
4Gでの混雑がない
前述したように、楽天モバイルは4G LTEサービスを2020年4月に開始したばかりです。
まだまだ他のキャリアと比較して顧客が少ないので4Gで混雑することがありません。
各社が混雑している4Gの回線と5G回線とをデュアルコネクティビティによって結合している中、楽天モバイルだけはスカスカの4G LTE回線と結合することができます。
サービス開始直後のノンスタンドアローン(NSA)状況下で楽天モバイルは混雑なく、スムーズな5G通信を行うことができると予想されます。
28GHzの割り当てでは各社同じ
サービス開始当初は各社サブ6と呼ばれる6GHz以下の周波数で5G通信を行いますが、やがてはミリ波と呼ばれる超高速通信を実現できる28GHzの周波数で通信をするうようになります。
この周波数の割り当てはドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社は1枠ずつしか割り当てられていません。
つまり、出遅れている楽天モバイルは28GHz帯では他のキャリアと同じ土俵で勝負できるのです。
5Gのエリアは各社狭い
楽天モバイルは4G LTEの通信エリアでは圧倒的に出遅れています。
楽天モバイルが通信できるのは首都圏、大阪、名古屋などの一部の都市圏だけで、その他のエリアはKDDIの電波を借りて通信することになります。
4Gでは明らかに出遅れている楽天モバイルですが、5Gでは各社ともに通信エリアは超限定的になっています。
例えばソフトバンクは東京駅周辺くらいしか繋がりません。
5Gに関して言えば、各社エリアが狭い状況がしばらく続くため、楽天モバイルのエリアの狭さは5Gに関しては「気にならないレベル」ということができるのです。
28GHzでは他のキャリアと同じスタートを切ることができ、サブ6に関しては4G LTEが混雑していない分だけ楽天モバイルの方が速くなる可能性があります。
このような理由から、出遅れている楽天モバイルが5Gのサービス開始時には意外にも有利になる可能性があります。
まとめ
開始直後の5Gは4Gの電波を利用して通信するので、4Gの混雑状況が5Gの通信速度にも影響します。
この点、4Gの顧客がまだまだ少ない楽天モバイルは4G LTEでの通信が速いだけでなく、2020年6月開始予定の5Gでも他のキャリアよりも高速で通信できる可能性があります。
1年間は完全無料で利用することができるので、お試しで加入してみるのもありかもしれません。
5Gは意外にも大穴、楽天モバイルがスタートダッシュを切るかもしれませんね。