2020年3月以降に、本格的にスタートする日本の5G。
しかし、2020年1月現在では具体的な形が見えないのが現実です。
国内2番目の大手キャリア、auの5Gはどのような進展を見せ、料金やエリアはどうなるのでしょうか?
結論的に言えば、auの5G計画もまだ不明瞭ですが、料金に関してはauが最も5Gスタート後の形が見えていると言えるでしょう。
2020年1月現在、auの5Gでわかっていることを全てまとめました。
auユーザーの方や、そうでない方もauの5Gの取り組みを知ることで料金に対するおぼろげな概要は見えてくるはずですので、5Gを利用するかどうかの参考にしてください。
目次
auの5Gに対する取り組み
auは5Gの産業分野やエンターテイメント分野で、様々な実証実験をすでに行なっています。
まずはauは5Gに対してどのような取り組みを行なっているのか、具体的に見ていきましょう。
ゼネコンと組んでの実証実験
auは大林組、NECと組んで建設現場で重機の遠隔操作の実証実験を行なっています。
実証実験では、建設機械に合計5台のカメラを設置しカメラに映し出された映像は、現場遠隔操作室に5G回線で送られます。
オペレーターはその映像を見ながら遠隔操作を行うことに成功しました。
建設現場はもちろん、人が立ち入るのが難しい、災害現場での活用も期待されています。
鉄道での5G実証実験
auは鉄道での実証実験も行なっています。
5Gは大量のデータを送ることができますが、その通信範囲が狭いため、移動する電車などでの利用については「通信が途切れてしまう」という点が問題視されています。
そこでauは、電波を細く絞って、特定の方向に向けて集中的に発射する技術であるビームフォーミングという技術や、通信しながら移動している時に次のアンテナに自動的に切り替えるハンドオーバーという技術を使用しています。
時速190キロの移動中でも5G電波を使用することができる実証実験にもこの技術で成功しています。
そして新宿でも移動中に通信をするというこんな実証実験を行なっています。
5Gが本格導入されれば「移動中の電車や車の中では繋がらない」という問題が出てくるかもしれません。
しかしauはこのような問題に備えて今からしっかりと技術開発や実証実験を行なっているのです。
エンターテイメント分野での取り組み
auはゴーグルをかけないVRシステム「みんなでVR」という技術も公開しています。
半円球の大きなスクリーンに映像を映し出すことで、ゴーグルをかけなくても多くの人がVR映像を楽しむことができます。
高速で大容量の映像の送信ができる5Gだからこそ、大スクリーンでVR映像を実現することができます。
スポーツ観戦
さらにauはスポーツ観戦での実証実験も多数行なっています。
プロ野球の試合ではスマートグラスの実証実験も行いました。
試合を見ながら、他会場の結果や、選手の成績などが画面上の表示されます。
こちらも、低遅延の5Gだからこそリアルタイムの情報を受信することができます。
また、サッカーでは、ゴールシーンをさまざまな角度から見ることができる「au/4D Replay」という技術を実験しています。
ゴール前に4kカメラを並べ、この映像を組み合わせることによって、ゴールシーンを360度視聴することを可能にしています。
この他に、クライミングの中継で自由視点映像の実証実験も行なっています。
自由視点映像とは、選手が登る壁の頭上に16台のカメラを設置し、視聴者はパソコンやスマホから自由に見たいカメラの映像を切り替えることができるというものです。
このようにauはスポーツの分野でも様々な実験を行なっています。
auの5G開始予定は2020年3月
auの5G開始予定は「2020年3月」
と大手キャリアの中でも最も具体的かつ早く発表しています。
以下は大手キャリアが発表している5G開始時期です。
- ドコモ:2020年春
- KDDI(au):2020年3月
- ソフトバンク:2020年春
- 楽天モバイル:2020年6月
このように、auは大手キャリアの中で最も5G開始時期が早く明確です。
後述しますが、実質的な料金プランもすでに発表しており、auは大手キャリアの中でも5Gに対する本気度が非常に高いと言えるかもしれません。
auの利用可能エリアはドコモに次いで広い
auは5G基地局に対する投資もドコモについで2番目に多い約4,600億円となっており、2024年の計画値では日本全国の大部分をカバーできる計画になっています。
大手キャリア4社の2024年までの計画値は以下の通りです。
- NTTドコモ:97.0%
- KDDI(au):93.2%
- ソフトバンク:64.0%
- 楽天モバイル:56.1%
この数字はキャリアの評価にも繋がっており、総務省は周波数は、5G展開率、基地局数、不感地域解消人数などを評価し、これらの評価が高かったキャリアに優先して周波数を割り当てていますが、KDDIはドコモと同じく3枠の周波数を割り当てられています。
ソフトバンクと楽天が2枠ずつであったことを考えると、auはドコモと並んで、最も5Gへと取り組みが評価されたキャリアということができます。
今後は5Gの繋がりやすさや普及率はNTTドコモとauで競っていくことになるのではないでしょうか?
KDDIは2019年9月に第一号の基地局を設置し、2023年には53,626局を全国に展開していく予定としています。
上記の図はKDDIホームページに記載されている5G基地局設置計画です。
2020年度は基地局設置はそれほど進む計画ではありません。
しかし、2021年には10,622局を設置する計画ですので、日本全国の主要都市では5Gが利用できるようになり、2022年には日本全国のほとんどの場所で、2023年には日本全体の93%程度をカバーすることができる計画です。
auの5G料金プランは?
auは5G導入に向けた料金プランを発表
auは5G時代を見据えて2019年8月に新料金プランを発表しました。
新料金プランのメインは「auデータMAXプラン Netflixパック」です。
「auデータMAXプラン Netflixパック」は容量無制限へ変更し、従前の「auデータMAXプラン」8,980円(税別)から月額7,880円(税別)へと1,000円以上安価になっています。
さらに4k映像を見ることができるプレミアムプランは月1,000円の加算となっています。
5G時代を見据えた「大容量・使い放題」の料金プランとなっており、5G導入後もこの料金プランが主軸になっていくのではないかと考えられます。
5Gの料金は現状と大幅な変化はないか
KDDI 代表取締役社長の髙橋誠氏は大手キャリアトップが集まりイベントで5Gの料金について以下のようにコメントしています。
これからは多様性の時代だと思う。素晴らしいネットワーク、サービスを体感したい人もいれば、安ければいいという人もいる。その両面を見た料金設定にしなくてはいけない。ただ、5Gでいちばん重要なのはまず使ってもらうこと、そういう環境を我々は作っていきたい
このように述べていることから、基本的に最初からそれほど高額な料金設定になることはないのではないかと考えられます。
auの5G対応機種はまだ未発表
auは5Gの対応機種に関してはまだ未発表です。
ただしドコモはプレリリースですでに5G対応機種のプロトタイプを発表しており、おそらくこれらの機種はauでも対応してくるはずです。
詳細は未定ですが、機種に関してはドコモと大きな差はないと考えられます。
まとめ
auは5Gに関して、様々な実証実験を行なっており、特に「移動中の通信環境」「スポーツ分野での5G活用」などについて多くの実験を行なっています。
通信エリアに関しても具体的な進捗が見えており、2024年の予定カバー率に関してもドコモと双璧をなしています。
料金プランも5G時代を見据えたものが発表されており、あとは2020年3月の開始に向けて具体的にどのようなプランになるのか、機種はどうなるのかなどを待つばかりとなっています。
5Gメディアとしても詳細が発表され次第、報告していきます。