「5G時代になるとテレビが終わる」各方面で言われています。
これは「5Gになると皆がyoutubeやNetflixばかりを見るようになるから」などとという簡単な話だけではありません。
確かに、時代はテレビからネット動画へと流れは変わっていますが、「テレビが終わる」と言われる主な理由は地上波が高画質通信に対処することができないという技術的なものです。
5Gになるとテレビが終わると言われている理由について詳しく解説していきます。
目次
地上波は4k8kには対応しない
現在私たちがテレビで視聴している地上デジタル放送は2Kと言われる画質です。
「今後、5Gになれば4kや8kなどの大容量動画の視聴が可能になる」と言われています。
つまり、5G時代には現在の地上デジタル放送よりも圧倒的に高精細な映像が視聴できるようになります。
今はNetflixやDAZNなどを大型テレビに映せば画像は荒く感じますが、それは現在のネット回線が低容量の粗い画像しか通信できないためです。
5Gになれば高速大容量通信が可能になるので、ネット通信の方が映像が綺麗になると言われています。
しかし、地上波は4kや8kには対応していませんし、今後も対応させる予定はありません。
今後はテレビとネット放送の映像は逆転し、地上波に映像面でのメリットはなくなります。
地上波が4k8kに対応しない理由と、ネット映像の高精細化について詳しく解説していきます。
地デジは2kにしか対応しない
現在の地上デジタル放送は2kまでしか対応していません。
もしも地上デジタル放送が4k8kに切り替わってしまったら、現在多くの家庭に置かれているテレビは映像を受信することができなくなります。
4kや8k放送はチューナーがついていないと受診することができないからです。
すると、以前アナログ放送が地上デジタルに切り替わった時のように、テレビの買い替えや受信機の設置が必要になってしまいます。
災害やニュースなどの重要な情報を伝えるテレビは社会インフラです。
簡単に現在のテレビを視聴不能にするわけにはいきません。
そのため、テレビは今後も4kや8kに切り替わる予定はないのです。
地上波を置いてテレビは4k8k対応に
地上波では今後も4kや8kに対応することはありません。
しかし、テレビは「8k対応」などの新型テレビをどんどん投入しています。
これは、テレビ業界が「地上波を視聴するためではないテレビの未来」を見据えているためです。
衛星放送やネット動画配信サービスは次々に4k8k放送を開始しています。
つまり、テレビは「地上波を見るためのもの」ではなく「衛星やネット動画の高画質映像を観るためのもの」に切り替わっているのです。
Netflixは4kを15年前から開始
2015年からNetflixは4k配信を開始しています。
5G時代が到来するずいぶん前からNetflixでは4k動画を視聴できるようになっています。
そして、2018年12月から4K8K衛星放送もスタートしています。
以前から動画配信サービスや衛星放送では地デジよりもはるかに高精細の映像サービスを開始しているのです。
ではなぜ、「5Gになるとテレビが終わる」と言われるのでしょうか?
5Gになれば普通に8k動画がネット配信される
5Gになれば、高速大容量が可能になるので普通に8k動画を受信できるようになります。
これまでもNetflixやBSでは4k8kを開始してきましたが、5Gになるとさらに簡単に4k8kの映像配信ができるので、多くのネット配信が地上波よりも綺麗な映像を配信できるようになります。
これが「5Gになるとテレビが終わる」と言われる理由です。
すでに大手キャリアは5G時代を見据えて8kの配信実証実験を終えています。
さらにVR技術が進めばテレビそのものが不要になるかもしれません。
テレビとは正反対にネット映像がどの程度進んでいるのか詳しく見ていきましょう。
ソフトバンクはバスケの8k配信を実験済み
2019年8月、ソフトバンクとシャープはバスケットボールの国際試合を8k画質のマルチアングルでライブ配信するという実証実験を行なっています。
この実験ではボトルネック(スムーズに映像が配信されないこと)することなく、スムーズに映像が再生されました。
さらにこの実験はモバイル用の電波で通信しており、実験によって「どこからでも8k映像をライブストリーミングできる」ということを証明したことになります。
DAZNなどでスポーツ中継を見たことがある人はお分かりかもしれませんが、これまでのストリーミング配信を大画面テレビで視聴すると映像が粗く、映像もスムーズさに欠けていました。
「やはり地上波の方が綺麗」と思った人も多いかもしれません。
しかし、5Gになるとストリーミング配信のこのようなデメリットは解決され、地上波よりも圧倒的に高精細な映像がストレスなく視聴できるようになるのです。
VRでテレビが不要に?
そして5Gの大容量でVRがテレビの代わりになるかもしれません。
例えば、サッカースタジアムで撮影された複数のカメラの映像を、VRに送り、VRの中であたかもスタジアムにいるような感覚でサッカー観戦ができるようになれば、多くの人がVRでサッカー観戦をするはずです。
5Gでは実際にこのようなことを実現することができます。
5Gは地上波だけでなく、テレビそのものの存在意義を薄めてしまう可能性も持っているのです。
テレビ側のネット融合
テレビ側もこのような状況を指をくわえて見ているわけではありません。
国内のテレビメディアもテレビからネット時代の到来を見据えて、ネットとの融合を進めていますし、NHKもネット放送を本格的に開始します。
テレビからネットへという時代の流れの中、テレビ業界はネット放送に対してどのように取り組んでいるのかについても詳しく見ていきましょう。
2016年Ameba TV
2016年にテレビ朝日はサイバーエージェントと「Abema TV」の開局しました。
テレビ朝日のコンテンツ作成能力と、サイバーエージェントの技術を融合させ、今やダウンロード数は2019年5月に4000万ダウンロードを突破しました。
日本テレビのhulu買収
日本テレビは2014年にhuluを買収しています。
日本テレビは以前からテレビとネットの融合を進めてきましたが、hulu買収によって日テレの番組をスピンオフ配信するなど、テレビをネットに融合させる動きが最も活発なテレビ局です。
NHKの常時同時配信
2020年からNHKも常時同時配信をスタートさせます。
常時同時配信とは、NHKの地上放送のテレビ番組をインターネットで同時に配信することです。
公共放送であるNHKが地上波の番組をネット視聴できるようにする動きになり、いよいよテレビが地上波だけの存在である時代は本格的終わりが見えてきました。
テレビ局側も、テレビの優位性の時代の終わりを感じ、ネットへの融合を加速させているのです。
まとめ
5G時代になると、地上波よりも圧倒的な高画質かつ多数の映像を誰もが自宅のテレビで視聴することができるようになります。
一方、地上波では4kや8kに対応させる予定はありません。
これまでは、テレビとネットは別物と考えられており、どちらかと言えばテレビの方が社会的地位は上、画質もテレビの方に優位性がありましたが、5G時代になるとその立場が逆転します。
5G時代にはテレビとネットの垣根は無くなります。
テレビ側もネットへの融合を進めているので、すぐにテレビ局がなくなるわけではありません。
しかし、今後はNetflixやDAZNやyoutubeとテレビ局がガチンコで戦っていかなければならないのは必須で、少なくともテレビ局に「公共の電波が割り当てられた既得権」という優位性は無くなり、本当の意味での競争に晒されることは間違いないでしょう。