健康被害

【5Gは健康に影響なし】ICNIRPが発表したガイドラインとは

【5Gは健康に影響なし】ICNIRPが発表したガイドラインとは

国際機関ICNIRPは2020年のガイドラインで「基準を守る限り5Gが害を生じることはあり得ない」と結論づけました。2026年時点でもこの基準は現役で、WHO委託のレビューでも携帯電話とがんの関連は認められていません。

結論:主要機関の見解(2026年10月)

機関 見解 現状
ICNIRP ガイドラインを守る限り5Gは害を生じない 2020年版を継続適用
WHO 委託レビューで携帯電話とがんの関連は認められず 2023〜2025年に12本公表
IARC 2011年に高周波を「2B(可能性を否定できない)」に分類 分類は維持。2024年4月に再評価を「高優先度」とし、2025〜2029年の後半に実施予定
総務省 電波防護指針はICNIRPと同等の値 2024年に高周波領域を改定。局所吸収指針の対象見直しは2026年10月6日に委員会報告を取りまとめ
批判的な研究者 WHOレビューの手法に欠陥があると主張 2025年に反論。議論は継続

ポイント:批判は「安全と断定するには証拠が足りない」という趣旨。健康被害が新たに確認されたわけではありません。

ICNIRPとは

項目 内容
正式名 国際非電離放射線防護委員会
設立 1992年(国際放射線防護協会が設立した非営利の科学機関)
メンバー 疫学・医学・物理学などの大学・公的機関の科学者
中立性 国や所属を代表しない。営利企業に雇用されることもできない
WHOとの関係 WHOが公式に協力関係を認める機関(通信業界団体ではない)

5Gの電波はどこに位置するか

電磁波スペクトルの中で5Gはどこにあるのか 左へ行くほど周波数が低くエネルギーが小さい(対数目盛のイメージ図) 電波 赤外線 可視光 紫外線 X線・ガンマ線 電離のしきい値 非電離放射線(分子を電離させない) 電離放射線 4G / 5G Sub6 3.5〜4.5GHz 5Gミリ波 28GHz ・5Gの電波は可視光より低い周波数で、電離のしきい値から大きく離れている ・ICNIRPが定めるのは主に「体を温める作用(熱作用)」の上限 ・日本の電波防護指針もICNIRPと同等の基準値(総務省) ※周波数の間隔は説明用に調整しており、実際の対数スケールとは一致しません
  • DNAを直接傷つけるのは電離放射線(X線など)
  • 5Gは非電離放射線。4Gと同じ枠組みで説明できる
  • 周波数が高いほど体の奥に入らない。ミリ波は皮膚の表層で吸収

実際の基地局の電波はどれくらいか

情報通信研究機構(NICT)が商用5G基地局を実測しました(2024年7月公表)。

項目 結果
測定場所 3.7/4.5GHz帯:都内と近郊51地点/28GHz帯:都心15地点
指針値との比 中央値で約1万分の1以下
ダウンロード中 約70倍(Sub6)・約1,000倍(ミリ波)に上がるが、4G基地局と同程度以下
海外との比較 フランスの測定結果の約12%

出典:NICT「5G携帯電話基地局からの電波強度を明らかに」(2024年7月5日)

WHO委託レビューの結論

検証内容 結果
携帯電話と脳腫瘍など頭頸部のがん 関連は認められず
10年以上の長期使用 関連は認められず
通話回数・時間の多さ 結果に影響せず
電磁過敏症 電波の有無を伏せると症状との対応は確認されず

Environment International誌に2023年10月〜2025年5月に計12本掲載。Karipidis et al. (2025) は5,000本超の文献を対象。

日本の基準は更新され続けている

年 電波防護指針の動き
1990年 策定
1997年・2011年 改定
2015年 低周波領域を改定
2018年 高周波領域を改定
2024年4月9日 情報通信審議会が高周波領域の改定を答申(吸収電力密度の指針値、6〜10GHz帯の測定方法)
2024年11月27日 答申を受けて無線設備規則等を改正し、吸収電力密度の許容値を制度化
2026年 作業班で改定案を検討(第18回 6月16日/第19回 7月9日)→ 7月14日の委員会で報告(案)を取りまとめて意見募集 → 10月6日の第69回 電波利用環境委員会で委員会報告を取りまとめ。局所吸収指針の対象に基地局等を追加する改定(下記)

審議中の改定:局所吸収指針の対象に「基地局等」を加える

2026年に動いているのは、端末向けの物差し(SAR)を一部の基地局にも使えるようにする改定です。規制を緩める話ではありません。

項目 内容
現状 局所吸収指針の主な対象は「携帯電話端末等の小型無線機」。携帯電話基地局は対象として明記されていない
課題 波源のすぐそば(10cm未満)を含め、基地局装置の局所SAR・全身平均SARの評価方法が無く、局所吸収指針を適用できない
改定の方向 主な対象に「人体の近接が想定される携帯電話基地局等」を追加
対象になる設備 小型の携帯電話基地局、陸上移動中継局、地球局(中継を行うもの)など
対象外 マクロセル基地局等(鉄塔やビル屋上の、広い範囲をカバーする大きな基地局)は想定していない
手続きの段階 報告(案)への意見募集が2026年7月23日〜8月26日→2026年10月6日の第69回委員会で委員会報告を取りまとめ。2026年10月31日時点で、分科会・総会の答申と省令等の改正は公表を確認できていない

なぜ必要になったか:5Gで小型の基地局が増え、人が近づける場所に置かれるようになったためです。報告(案)はこの改定を「ICNIRPガイドラインに近づく方向」と位置づけています。ICNIRPは電波源の種類を問わず適用される前提で、局所・全身のばく露指針値を同時に満たすことを求めているからです。

出典:情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会「報告(案)諮問第2035号「電波防護指針の在り方」のうち「局所吸収指針の主な対象の見直し」について」(資料67-2-1)。意見募集の期間はe-Govパブリック・コメントによる。委員会報告の取りまとめ日は、第69回 電波利用環境委員会 資料69-3-1(報告)の「検討経過」による。

指針が変わるまでの段取り

段階 状況
作業班で改定案を検討 済(2026年6月16日・7月9日)
委員会で報告(案)を取りまとめ 済(2026年7月14日)
意見募集(パブリックコメント) 済(2026年7月23日〜8月26日)
委員会報告の取りまとめ 済(2026年10月6日・第69回)
分科会・総会を経た答申 2026年10月31日時点で公表を確認できず
省令等の改正(制度化) 同上。2024年の改定では答申から約7か月かかった

※2024年の高周波領域の改定は、4月9日の答申から11月27日の無線設備規則等の改正まで約7か月。今回も答申からすぐに基準が変わるわけではありません。

指針の対象は基地局・放送局だけではありません。人体のそばで使う携帯電話端末も対象で、評価の物差しが分かれています。

対象 主な物差し 確認する人
基地局・放送局など
(離れて受ける電波)
電波の強度(電界強度・電力密度) 事業者が設置時に算出・測定。総務省が制度で担保
携帯電話端末など
(体のそばで使う機器)
局所SAR(2W/kg、四肢4W/kg)と、6GHz超は吸収電力密度 メーカーが機種ごとに公表(「機種名 SAR」で検索)

出典:総務省 情報通信審議会「電波防護指針の在り方に関する検討」(2026年9月20日確認)

「基準が緩められた」は事実ではありません。2026年も続く審議の論点は、6GHzを超える電波を人体の近くで使う機器などをどう測るかで、方向は国際基準(ICNIRP)との整合です。規制値を引き上げるための見直しではありません。

不安なときに自分で確かめる方法

知りたいこと 調べ方 目安
スマホの電波の強さ 「機種名 SAR」で検索(各メーカーが公表) 許容値は2W/kg(四肢は4W/kg)。影響が出る水準に大きな安全率をかけた値
基準の根拠 総務省「電波防護指針」 2002年に頭部、2014年に身体そばが規制対象に
近くの基地局 各地方の総合通信局の相談窓口 NICT実測で指針の約1万分の1以下

よく出回る噂と事実

噂 事実
5Gがコロナを広げた WHOや各国当局が否定。5G未導入のイランでも早期に感染が拡大
5Gの地図と感染地図が重なる どちらも人口密集地に集中するだけ(相関であって因果ではない)
高周波で免疫が落ちる・昆虫が死滅する 5Gの電波と結びつける科学的根拠はない
5Gは4Gより電波が強い 実測では4G基地局と同程度以下

2020年当時は懸念を示す研究者もいて、スイスや米国の一部自治体が基地局建設を止めた例もありました。その後、5Gの展開は世界規模で続き、日本の5G人口カバー率は98.6%、契約数は1億3,153万件に達しています。

よくある質問

Q. 2020年のガイドラインは古くない?

2026年10月4日に公式サイトで確認した時点でも現行版です。高周波を置き換える予定は示されていません。

Q. 「2B」なのに安全と言える?

2Bは「証拠が不十分で否定も肯定もできない」区分で、危険の大きさではありません。漬物なども同じ2Bです。

Q. IARCの再評価で分類は変わる?

未定です。2024年4月の諮問グループ勧告で「高優先度」とされ、2025〜2029年の後半に実施予定。結果が出るまでは2Bのままです。

Q. 電磁過敏症の症状があるときは?

症状そのものは事実です。原因を自己判断せず、医療機関に相談してください。

まとめ

  • ICNIRPの2020年ガイドラインは今も現役
  • WHO委託レビューで携帯電話とがんの関連は認められず
  • 国内の5G基地局は指針の約1万分の1以下
  • 研究と基準の見直しは続いている。一次情報で確かめるのが確実

※本記事は2020年公開の内容をもとに、ICNIRPガイドラインの現状(2026年9月11日に公式サイトで確認)、WHO委託レビュー、NICT実測、日本の電波防護指針の改定を反映し、2026年9月13日に図表中心の構成へ再編集し、9月14日にIARCの再評価予定(2024年4月の諮問グループ勧告・The Lancet Oncology掲載)を、9月20日に総務省 情報通信審議会の検討作業班が2026年も審議を続けていること(第18回 6月16日・第19回 7月9日)を追記したものです。2026年10月4日にICNIRP 2020年版が現行であることと作業班の開催状況を再確認し、電波防護指針の制度化の経緯(2024年11月27日の無線設備規則等の改正)と、基地局と端末で物差しが分かれることを追記しました。2026年10月16日に、局所吸収指針の主な対象に「人体の近接が想定される携帯電話基地局等」を追加する報告(案)(意見募集 7月23日〜8月26日)を追記しました。2026年10月31日に、2026年10月6日の第69回 電波利用環境委員会で委員会報告が取りまとめられたこと(資料69-3-1の「検討経過」で確認)を反映し、指針が変わるまでの段取りを表に追加しました。


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