5G時代になれば医療が変わると言われますが、具体的に5Gになってどのように医療が変わるのかイメージしている人はそれほど多くないのではないでしょうか?
5Gは現在の医療環境を以下の4点で大きく変革することが期待されています。
- 遠隔地の患者に精度の高い診断ができる
- AIによる自動診断で医師不足を補える
- 医師同士で情報を共有することができ、遠隔地にいる専門医の診断が受けられる
- 遠隔地から触診や手術を受けられる
5Gは、医療に関わる様々な人や医療そのものを大きく変革する可能性を秘めています。
5Gが私たちの医療をどのように変えて行くのか、さまざまな角度から解説していきます。
目次
遠隔医療で5Gが期待される理由
遠隔医療の分野で5Gが期待される理由は2つあります。
- 高精細な画像が送受信可能になる
- AIによる診断を期待することができる
5Gが本格拡充によって、これまで病院に行かなければ受けることができなかった高度な診断を遠隔地の医師に行なってもらうことができるようになります。
さらに簡易な診断であればAIを活用することができる可能性があります。
まずは、5Gが医療現場に対して直接的に与える影響と期待される理由について詳しく解説します。
医療で使う画像が高精細化
5Gになれば、高精細な容量の大きい画像の受送信が用意になります。
CTやMRIのデータの送受信が容易になるので、例えば患者とは数百kmも離れた場所にいる専門医に自分のCTやMRIの画像を診断してもらうことができるようになるでしょう。
また自宅のパソコンのWebカメラから内科診断やケガの患部の診断などをしてもらうことができるようになるかもしれません。
AIによる診断
5Gによって期待されていることがAIによる診断の可能性です。
レントゲン、CT、MRIなどのデータからAIが診断を行うことができるようになれば、医師不足の解消にも寄与します。
やはりAIが診断する場合にも、高精細な画像データの送受信は欠かすことができないため、5GによってAIによる診断の可能性が本格的に期待されるようになっています。
5Gで期待されるDtoDとは?
5Gでは、医師と患者だけでなく、医師と医師の間(DtoD)の医療も大きく加速することが期待できます。
高精細大容量の画像を高速で行うことができるので、遠隔地の専門医へ患者のデータを診断してもらうことが可能になります。
5Gは医師と医師の連携も高速に進めることができる可能性を持っています。
CTやMRIなどの画像のやりとりが可能
CTやMRIなどの画像のやりとりは医師同士の連携にも期待されています。
オンライン上で高精細の画像をタイムリーにやりとりできるようになれば、専門的な診断ができない病院などで撮影した画像を専門病院に診断してもらうことができます。
現在は、特定の病気に関しては専門的な知見を持っている医師が少ないため、地方から都会の病院に診察に行くことは珍しいことではありません。
しかし、画像のやりとりがタイムリーに可能になれば医師と医師、病院と病院を跨いだ診察を受けることが可能になり、医師同士も情報共有や情報交換が容易になり連携を深めることができます。
患部の見落としなどを予防できる
さらに患者の画像データなどを瞬時に共有することができれば、1人の患者に対して複数の医師が診断することができます。
これによって患部の見落としの防止などにも寄与することが期待されています。
これまでは医師1人にかかっていた責任や仕事を他の医師と共有することができるというのがDtoDで期待されている5Gによる変革です。
5GでDtoP診断はどう変わる?
そして、最も期待されるのが医師と患者(DtoP)の遠隔医療です。
以前は保険適用外だったオンラインによる遠隔医療も今は保険適用です。
ここに5Gが絡めば、離島やへき地の人だけでなく、ビジネスパーソンなどの時間的な医療難民も診察を受けることができる可能性があります。
5GによってD to P診断はどのように変わっていくのか、具体的に見ていきましょう。
2015年から遠隔医療への期待が高まる
2015年までは、遠隔医療は原則保険適用外で保険適用となっていたのは離島、へき地の人だけでした。
しかし、2015年に厚生労働省が「離島、へき地はあくまで例示」であるという旨を通知したことによって、一気に遠隔医療への熱は高まりました。
2018年にオンライン診療が初めて保険診療化
そして、2018年にオンライン診断(遠隔医療)が保険診療化されました。
現在は、近くに医師がいない人でも、遠隔医療によって保険診療を受けることができるようになります。
ここに5Gの技術が加わることによって、これまで医療難民と呼ばれていた人でも、さらに精度の高い診察を受けることができると期待されています。
医療難民は多数存在する
医療難民は多数存在しています。
5Gによる遠隔医療によって様々な医療難民が診療を受けることができるようになるでしょう。
離島、へき地の患者
離島やへき地に居住している人は、近くに医師がいないため、診察を受けることができません。
5G技術の拡充によってWebカメラの前で内科診断を受けることができますし、今後はスマホなどで患部を撮影することによって医師やAIが診察を行い、処方箋を出して近くの薬局で薬を受け取ることができるようになる可能性があります。
もしかしたら、処方箋のデータをAmazonに遅ればドローンが薬を運んでくるようになるかもしれないのです。
いずれにせよ、遠隔地やへき地の人が病院に行かなければならないのは、入院や手術が必要になる重い病気やケガの時だけという時代はすぐそこに来ています。
日中働くビジネスパーソン
日中働くビジネスパーソンも実は隠れた医療難民です。
通常、病院は昼間しか開業していないので、忙しくて仕事を休むことができない人は、少々具合が悪い程度では病院に行かないということが半ば一般化しています。
オンライン診療が本格的に始まれば、必ず夜間にオンライン上で診療するクリニックは登場します。
忙しくて病院に行くことができないビジネスパーソンも 5Gにより実現された技術で対面さながらの診療を受けることができるようになるでしょう。
5Gによる医療の進化の可能性
5Gにより遠隔医療の可能性は単に「非対面で診察ができる」ということにとどまりません。
過労が指摘されている医師の働き方改革に繋がる可能生もありますし、本格的な高齢化社会到来で懸念されている医師不足解消にも寄与するでしょう。
また、遠隔地から手術ができる時代も来るかもしれません。
そして、私たちの健康は私たちがコントロールすることができる時代の到来も期待されています。
5Gにより医療革新で期待される未来図を少しだけ見てみましょう。
高精細・大容量画像の送信による、診断精度の向上
CTやMRIなどの画像を高精細に瞬時に受送信し、専門医にチェックしてもらうことが可能になります。
また、複数の医師による診断を受けることも可能になるので、診断制度は今よりも格段に向上することが期待できます。
さらに、どこにいてもデータさえあれば高度な診断を受けることできるようになれば、地域よって偏っている医療格差を是正することができるでしょう。
AIによる診断で医師の働き方改革へ
簡単な診断であればAIの診断が可能になる可能性が高いと言われています。
すると、医師の手が空くようになるので、激務が当たり前のようになっている医師の働き方改革の実現が期待されます。
また、高齢化社会によって懸念されている医師不足の問題についても、AIによる診断が本格化すれば解消の目処がたつかもしれません。
ハプティクス通信により、遠隔触診や遠隔手術も可能に?
5Gにはハプティクスという技術の実現が期待されています。
ハプティクスとは、遠隔地にいながら触感まで伝えることができるという技術です。
遅延が非常に低い5Gでは、ロボットが触っている触感をダイレクトに遠隔地のグローブなどの機器に伝えることができます。
つまり、離れたところでロボットが触っているものを、自分が触っているのと同じ感覚で感じてロボットを自分の手のように操作することができるというものです。
この技術を応用すれば、離れた所にいる医師が患者を触診したり、遠隔地の医師が手術をすることができるようになります。
今のようにわざわざ名医のいる病院へ足を運ばなくても、地元の病院で名医から執刀してもらうことができるようになるかもしれません。
自分の医療データを自分で活用し健康増進へ
5G時代になるとありとあらゆるものがインターネットに繋がることになります。
5Gは多数の端末が接続できる多接続性という特性を持っているためです。
こうなると、自分の医療データとIOT機器を繋げることができるようになります。
冷蔵庫から食材を出したデータ、調理したデータなどを自動的に算出しカロリー計算を行なってくれ、自分の健康状態から「食べ過ぎなのか」「カロリーが足りていないのか」などを瞬時に知ることができるようになるかもしれません。
5G時代は、自分の医療データとIOT機器を連携させ、自分の健康管理をより効率的に自分で行うことができるようになることも期待されています。
まとめ
5Gが本格的拡充すると、医療は大きく変わります。
医師と患者、医師と医師の連携が強まり、医療技術や診断精度の向上が期待されます。
また遠隔医療は内科診断などの簡単なものだけでなく、手術にまで及ぶ可能性があるでしょう。
場所や時間を原因とした医療難民ないなくなり、皆が自宅から診療を受けることができるようになることも期待されます。
具体的にどのような形になるのかはまだ不透明です。
しかし5Gが本格的に拡充されると言われる2023年以降は、私たちは少しくらいの風邪では病院まで足を運ぶ必要がなくなる可能性があるでしょう。