イギリスで「新型コロナウィルス感染拡大の背景は5Gの電波によるものだ」という噂が流布されています。
実際に、5Gの電波塔が破壊されるなどの被害も出ており、真相はともかくとして新型コロナウィルスによってある種のパニック状態が起きています。
以前から5Gに関して健康被害を主張する意見があり、今回の噂もそのような経緯が背景にあるのかもしれません。
イギリスで流布されている噂やこれまでの5Gの健康被害を巡る意見について解説していきます。
目次
5Gの電波がコロナウィルスを広げている?
以前からネット上を中心として以前から5Gとコロナウィルスの関係性はフォーカスされてきました。
ネット上でうわさされている5Gとコロナウィルスの関係は以下のようなものです。
- 5Gは細胞内のDNA、RNA、免疫機能を破壊する
- 武漢にいはいち早く300の5G基地局が設置されていた
- 5G導入国ほど感染率が高い
以前から健康被害が指摘されていたもの、状況証拠が気持ち悪いくらいに揃っているものなどです。
この他、都市伝説のような噂もあります。
5Gがコロナウィルスに関係していると主な噂を詳しく紹介していきます。
5Gは細胞内のDNA、RNA、免疫機能を破壊する?
こちらは以前から言われていたことですが、5Gの高い周波数の電波は細胞内のDNAやRNAを破壊して、体の免疫機能を低下させるのではないかと言われています。
ワシントン州立大学の名誉教授で生化学の専門家マーティン・ポール博士は
「妊娠中の牛が電磁波を発する基地局の近くにいると、生まれた253頭の子牛のうち32%に当たる79頭が白内障に罹患」したと話しています。
米国の地方議会では、5Gの基地局設置などに何らかの規制や調査結果の報告などを求める決議を行なっているところもあります。
- ポートランド市議会:政府に5Gに対する調査結果アップデートすることを求める決議を採択
- ルイジアナ州議会:5Gの健康被害を研究するよう州に求める議決
このように、コロナウィルスの感染が中国で始まるずっと前から5Gに関する健康への懸念は指摘されてきました。
武漢にいち早く300の5G基地局が設置されていた
世界で最初にコロナウィルスの感染が拡大した中国の武漢は、オプティックバレーと言われており、5G通信網に欠かすことができない光ファイバーの中国の製造拠点です。
そして、武漢には、中国の中でもいち早く5Gの基地局が設置されていました。
その数は300と言われており、この膨大な数の5G基地局から発せらる電波が人々の免疫力を低下させ、新型コロナウィルスの感染を拡大したのではないか?
などと噂されています。
今回の、「コロナウィルスは5Gが広げている」という噂の根拠が、状況証拠的なものが多いのですが、そのうちの1つが「武漢は中国の5G拠点だった」という点になります。
5G導入国ほど感染率が高い?
そして、5G導入国ほど新型コロナウィルスの感染率が高いということも指摘されています。
コロナが発生した国と5Gが展開されている国が見事に一致してる事実。#コロナウィルス対策 #coronavirus #5Gとコロナ感染 pic.twitter.com/6E9aoCxOrx
— 5G&Corona (@5gCoronasecret) March 30, 2020
確かに、地図だけ見ると感染が進んでいる国と、5Gが展開されている国は一致しています。
これも、この主張をする人の中では有力な状況証拠になっているようです。
こんな都市伝説も
さらに、「コロナウィルスは5Gが原因」と主張する人の中には以下のような都市伝説に近い主張をしている人まで存在します。
◆武漢は5Gの実証試験地。
ダイヤモンド・プリンセスから回答きました。
◆メダリオン・ネット
5Gを上回る高速通信。
乗客全員にペンダント式・リストバンド式・ポケット式のデバイスを配布し実験。3月25日 docomo 5G開始
26日 au
27日 SoftBank
↓
567 = コロナ = 5G pic.twitter.com/ay1exlKMjL— Shigenori Harada(Japan) (@harasige876) April 3, 2020
5Gの商用サービスを始めたのが
ドコモが25日、auが26日、ソフトバンクが27日、それぞれの末尾を取ると567=コロナになるというものです(笑)。
さらに、コロナウィルスの感染で有名になったダイヤモンド・プリンセス号の中には、ミリ波の高周波Wi-Fiが飛んでいたことも有力な状況証拠となっているようです。
5G電波がコロナウィルスを運んでいる?
また、「5Gの電波そのものがコロナウィルスを運んでいる」という主張もあります。
さすがにこれは無茶な主張だと考えられます。
いくらなんでも電波がウィルスを運ぶことができるはずはありません。
5Gの電波が健康に悪影響を及ぼすという意見は以前からありましたが、2020年から始まったコロナウィルスの影響による状況証拠が加わり、「5Gが新型コロナウィルスの原因」というには、今や一部の界隈の人々の中ではかなり有力な説になってしまっています。
イギリスで噂が拡大し5G関係に実害も
このような噂がイギリスで拡大し、5G基地局が放火されました。
政府は噂を否定しています。
5G基地局が放火される
2020年4月3日、イギリスのバーミンガムで70フィートの5G電波塔が放火されるという事件が起き、この他にも電波塔が放火されるという事件はいくつか起きています。
5Gとコロナの関係性を主張するグループはFacebook上で繋がっていると考えられており、その書き込みを見た人間が別の犯行に及んでいるのではないかと考えられています。
背後にはかなり大きな「反5G団体がいるのではないか」と言われています。
政府はうわさを一蹴
このような事件や噂の広がりを受けて、イギリス政府は噂を一蹴しています。
- ゴーブ内閣府担当相:うわさについて「ばかげている」と一蹴
- 医療・保健当局幹部のポウィス氏も:「最悪のフェイクニュースだ」と強く非難
このように、イギリス政府は「全く根拠のないデマ」というのが公式見解のようですし、おそらく同じことが他国で起きたとしてもそのような対応になるでしょう。
科学的には「5Gは健康に害はない」が大勢
科学的には5Gは健康に害はないという意見が大勢をしめています。
また、そもそも「人体に影響がある」とされるミリ波の電波は全国展開していません。
5Gは健康に害はないという意見について詳しく見ていきましょう。
そもそもミリ波の電波は全国展開していない
5Gの高い周波数は「確かに一定程度人体に影響がある」というのが大方の意見です。
しかし、そもそもミリ波は日本においてはほとんど全国展開をしていません。
5Gとコロナの関係で言えば、確かにもっとも5G基地局を展開している東京や大阪などでコロナウィルスの感染が拡大していますが、逆に言えば、5G基地局が2020年3月〜4月の間に開設していない地域でも感染は拡大しています。
日本では当初北海道に感染が拡大しましたが、北海道で5Gが導入されているのはほんのわずかなエリアです。
そして、2020年4月現在では、新型コロナウィルスは一部県をのぞいて日本全国に拡大していますが、新型コロナウィルスの感染が拡大している県の中には5Gが非対応の県も存在します。
他の病気は蔓延していない
そして、5Gが免疫力低下を招くというのも状況証拠を考えれば無理があります。
確かに5Gがスタートした2020年に新型コロナウィルスの感染は拡大しましたが、逆に2020年のインフルエンザ感染者数は昨年と比較して大激減しているのです。
免疫力が低下するというのであれば、インフルエンザはじめとした他の感染症なども拡大していなければおかしな話になりますが、2020年は日本においては新型コロナウィルス以外の感染症の拡大は確認されていないのが事実です。
ミリ波の電波はX線やガンマ線が非常に低い
また「健康には問題がない」と主張する人の多くが「ミリ波の電波はガンを誘発すると言われている分子結合を破壊するものではない」と言っています。
X線やガンマ線は分子結合は破壊するのでガンの原因になってしまいますが、ミリ波にはX線やガンマ線が非常に低いので人体への影響はごくわずかというものです。
反対派の意見は状況証拠に基づいて主張されることが多いのですが、賛成派の意見は科学的だというのが率直な印象です。
まとめ
「新型コロナウィルス感染拡大は5Gが原因だ」との主張は確かに状況証拠は揃っています。
世界地図で見ても、日本地図で見ても5G展開地域とコロナの感染地域は一致しています。
また、コロナ発症の武漢が中国の5G拠点だったことも事実です。
科学的な根拠はありませんが、この2つの事実がコロナと5Gを関連づける有力な状況証拠となっています。
しかし、この状況証拠は単に「5Gは通信エリアが狭いから人が密集するところから先に基地局を設置する。そして人が集まるところはコロナウィルス感染拡大のリスクが高い」というだけのことを無理やりコロナと関連付けているように思えて仕方がありません。
また、本当に人体に影響があるのであれば、他の感染症も広がっていて然るべきですが、なぜインフルエンザの患者は激減して、コロナだけ広がっているのかも説明不能になってしまいます。
結局、真偽のほどはよく分かりません。
しかし、世界中でパニックになっている状況で、電波塔を放火するという行為は許されるものではありません。
5Gと健康に関しては個人が冷静に判断するしかないでしょう。