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auとソフトバンクがサブブランドへの移行無料へ|大手キャリアを動かした国の政策とは?

auとソフトバンクがサブブランドへの移行無料へ|大手キャリアを動かした国の政策とは?

2020年12月9日、KDDI(au)は主力ブランドと格安ブランドとの間で契約を乗り換える際の手数料を来年2月以降に撤廃して無料にすると発表しました。

これによって、現在auを利用している人もauのサブブランドであるUQモバイルへ無料で移行できるようになります。

また、ソフトバンクも2021年春にはサブブランドのY!mobileへの移行手数料を無料にすると発表しています。

ドコモの20GB2,980円の確約プランahamo発表依頼、大手キャリアの料金に大きな動きがあります。

これは菅政権が示している「携帯料金の引き下げ」という方針に合致した動きと言えるでしょう。

auとソフトバンクが発表しているサブブランドへの移行手数料無料方針と、大手キャリアを動かした省庁の方針の中身について詳しく解説していきます。

au・ソフトバンク サブブランドへの移行手数料撤廃へ

au・ソフトバンク サブブランドへの移行手数料撤廃へ

auとソフトバンクは自社のサブブランドへの移行手数料無料化を発表しています。

具体的には以下のような動きが手数料無料になります。

  • auはUQモバイルへ
  • ソフトバンクはY!mobileへ

それぞれ、すぐに始まるのではなく2021年になってからスタートします。

具体的なスケジュールなどについて詳しく見ていきましょう。

auはUQモバイルへ

auのサブブランドはUQモバイルです。

auは2021年の夏以降に、auの中で料金プランを変更する手続きと同じような簡単な手続きで、auからUQへ乗り換えができるようにすると発表しています。

従来、auとUQという同じ資本の会社であってもauでMNPの取得と解約手続きを済ませてからUQで契約手続を行うという時間のかかる手続きを経なければなりませんでした。

しかし、2021年の夏以降には料金プランの変更と同じ感覚で乗り換えが可能になります。

これまでは格安ブランドの乗り換えは「手続きが面倒」ということが高いハードルとなってきましたが、今後は気軽に乗り換えられるようになることで、乗り換えの促進が進むものと考えられます。

ソフトバンクはY!mobileへ

ソフトバンクはオンライン限定で移行手数料が完全撤廃される見込みです。

ソフトバンクはオンライン限定の移行手数料無料化の時期について2021年春頃と発表しています。

ただし、移行手数料が無料になるのはあくまでも店頭だけで、店頭で移行手続きを行う場合には、これまで通りの契約事務手数料3,000円が必要です。

ドコモと楽天モバイルはすでに手数料無料

NTTドコモが発表ずみのahamo、そしてすでにサービス展開を開始している楽天モバイルはすでに解約手数料等は無料です。

これらの2つのサービスは具体的に以下の手数料が無料になっています。

  • 新規契約事務手数料
  • MNP転出手数料
  • 契約解除料

ドコモと楽天モバイルに新規契約する際の事務手数料はすでに無料化されているので、新規契約する際には手数料はかかりません。

また、番号を他社に移す際のMNP転出手数料もドコモと楽天モバイルは無料です。

さらに、ドコモと楽天モバイルを解約する際の手数料も必要ないので、ドコモと楽天モバイルはすでに乗り換えのためのハードルを低くして、他社との顧客の流動化を図っているとも言えるでしょう。

総務省の携帯料金引き下げビジョンとは?

総務省の「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」とは?

今回、ドコモがahamoを発表し、auとソフトバンクがサブブランドへの移行手数料無料を発表した背景には菅政権の「携帯料金引き下げ」という政権公約があったためだと考えられています。

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総務省は菅総理大臣の発言を受けて、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」というものを発表しています。

「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」では三本柱として以下の3点が掲げられています。

  • 分かりやすく納得感のある料金・サービスの実現
  • 事業者間の公正な競争の促進
  • 事業者間の乗換えの円滑化

総務省の「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の3つの柱について詳しく解説していきます。

分かりやすく納得感のある料金・サービスの実現

総務省は分かりやすく納得感のある料金・サービスを実現するための問題点として以下の2点を挙げています。

  1. 過度に複雑な料金プランやサービスは、利用者の正確な理解や適切な選択の妨げになる
  2. 公正な競争は、利用者が料金やサービスの内容を理解できることが前提であるべき

これらを踏まえて、総務省が「分かりやすく納得感のある料金・サービス」を実現するための具体策として掲げている方策は以下の4点です。

  • 改正事業法の着実な執行(通信料金・端末代金の完全分離)
  • 誤解を与える表記の是正(「頭金」問題等)
  • 消費者の一層の理解促進(ポータルサイト構築)
  • 中古端末を含めた端末流通市場の活性化

総務省は料金体系だけでなく、中古端末を含めた端末流通市場の活性化まで掲げています。

今後は「中古のスマホ」が今まで以上に流通する可能性があるでしょう。

事業者間の公正な競争の促進

事業者間の公正な競争を促進するために総務省が問題点として掲げていることは以下の3点です。

  1. ネットワークの使用料(接続料等)は、MVNOによる料金設定を左右。適正性の十分な確保が必要。
  2. MNO間の公正な競争環境の整備が必要。

これらの問題点を解決するための具体策としては以下の4点が掲げられています。

  • データ接続料の一層の低廉化(3年間で5割減)
  • 音声卸料金の一層の低廉化
  • 周波数の有効利用の促進
  • インフラシェアリングの促進

ここで注目すべきは「データ接続料の一層の低廉化」という部分です。

今後はいわゆるパケット料金が大きく下がっていく可能性があります。

実際に総務省が「3年間で5割減」とまで掲げている以上は、3年の間にはパケット通信料が半分程度になる可能性が高いと言えるでしょう。

事業者間の乗換えの円滑化

そして、3つ目に掲げられているのが「事業者間の乗り換えの円滑化」です。

事業者間の乗り換えの円滑化の問題点となっているのが以下の3点です。

  1. 公正な競争には、現に加入している契約に過度に縛られずに乗り換えられる環境の整備が重要。
  2. 過度な期間拘束や引き留め、コスト負担、固定と携帯のセット割引等による過度な囲い込み等の課題が指摘。
  3. スイッチングコストを低下させるための取組が必要。

「1年縛り」などの期間拘束や、解約手数料などは乗り換えの円滑化の妨げになっていると総務省は明確に指摘しています。

乗り換えの円滑化を進めるための具体的に取組は以下の通りです。

  1. 改正事業法の着実な執行(過度の期間拘束の禁止)
  2. 番号持ち運び制度(MNP)の利用環境の整備
  3. キャリアメールの持ち運び実現の検討
  4. SIMロック解除の推進
  5. eSIMの促進
  6. 固定と携帯のセット割引等の検証

ここで画期的なのは「docomo.ne.jp」などのキャリアメールのアドレスを他社へ切り替え時にも持ち運ぶことができるという点、SIMロック解除がさらに推進するという点です。

乗り換えを検討している人の中には「メールアドレスを変えるのが面倒」「SIMロックがかかっているから別キャリアに乗り換えられない」と乗り換えを諦めてしまう人が少なくありません。

今後は乗り換えるための障害はどんどん取り払われていくものと考えられます。

消費者庁の携帯電話料金に関する注意喚起とは

消費者庁の注意喚起

総務省の「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」に続いて

消費者庁は2020年12月8日に、先日掲載した携帯料金プランに関する注意喚起の告知を更新しています。

「⾃分に合った携帯料⾦プランになっていますか︖」という見出しの元に書かれた内容は以下の3点です。

  • 利用状況の確認
  • 乗り換えても変わらないものがある
  • 乗り換えにかかる手間や費用を理解

消費者庁が乗り換えを勧めていると言っても過言ではない、注意喚起の中身について詳しく解説していきます。

利用状況の確認

ここで記載されている内容は以下の2点です。

  • 利用実態から見ると過大な契約プランの利用者が多くみられます。
  • 適切なプランを選択することで費用を安く済ませることができます。

ここでは、「月20GB以上のプランを契約している利用者が40%程度であるのに対し、実際に月20GB以上のデータ通信を使用している利用者は10%程度」という事実を記載するとともに、利用実態に合ったプランへ変更することで料金を抑えることができる。ということが記載されています。

乗り換えても変わらないものがある

ここで記載されていることは以下の2点です。

  • MNPを活用すれば電話番号が変わることはありません。
  • 同一事業者のメインブランドとサブブランドでは通信可能エリアなどに違
    いはありません。

格安SIMについて理解が薄い人向けに、番号そのまま通信エリアもそのままで格安SIMへ乗り換えることができるということを喚起しています。

乗り換えにかかる手間や費用を理解

ここで説明されていることは以下の2点です。

  • 初期設定は店頭又はご自身で行う必要があります。
  • 乗り換え費用が掛かる場合があります。

ここは注意喚起だと言えるでしょう。

乗り換えた場合の設定は自分で行う必要があることや、乗り換えの際には様々な費用がかかることを説明しています。

このように、消費者庁も「乗り換えた方が得になる」と発信しています。

まとめ

菅内閣になって始まった携帯電話料金引き下げの流れはどんどん加速しています。

すでにドコモは格安料金プランを発表し、auとソフトバンクもサブブランドへの移行手数料無料で対応する見込みです。

今後は、料金プランについてはキャリアの窓口の人に勧められるのではなく、自分で「本当に必要なプランは何か」を選択する時代です。

今後は料金プランの変化も激しくなることも予想されるので、情報しっかりと集めた上でご自身でご自身にとって最適な料金プランでスマホを契約するようにしましょう。